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第32話 大返し

Aは警察官が帰った直後、空一点を30秒ほど見つめてから、

「これは東京本部に通報が入るな」

と、一言呟いた。

「そんな警官に見えなかったけど…」

「いや、感の鋭い奴だった。俺には分かる」

Aはまた、しばらく黙っていたが立ち上がり、

「移動するなら早い方が良い。今日の午後、羽田で東京に飛ぼう」

楽しい事はすぐ終わってしまう。まあ僕らのようなサイコパスに安穏とした日々なんてあるはずないのかも知れなかった。

それに、Aが早く東京で爆破事件を起こしたくてウズウズしているのが目に見えるように分かっていた。やはりこれは病気なのだろうか。

「Bも早く出発の準備、してきな」

「次のプラン、もう考えてるの?」

「ボンヤリとな」

Bの荷物はノートパソコンと瓶のバニラコーク数本くらいで、衣服等は下着くらいだったので準備はすぐ済んだ。

「Cとはこのまま別れよう。充分やってくれたが新しい自衛隊の仲間は欲しい所だ」

Aもここには何の爆弾の資材も置いてなかったらしく、身支度も手早く済んだ。

「A!これ」

そう言ってBはAに四角いサングラスを渡した。Bのものはフチが大きい例の顔が小さく見えるグラサンだ。渡されたサングラスを大人しく身に着けたAは、

「よし、行こう」

沖縄のアジトを後にした。

午後3時半那覇空港から羽田空港へと飛んだ。成田空港は僕らがぶっ壊したせいもあってまだ空港修繕中、ほぼ全便欠航となっていたが、羽田空港は機能していた。午後7時には東京のホテルにチェックイン、ここまで誰に警戒されることもなく過ぎゆきまずはゆったりとホテルの部屋で過ごした。

「風呂場すごく広かったよ!Aも入ったら」

「そうか」

翌午前10時、不動産屋に赴き、渋谷駅に近い中古の戸建てを注文、代金はBがキャッシュで支払い、5800万の一軒家に即入居した。

「電気、水道、ガスは翌日らしいから、ホテルにもう1泊するか」

「わーい」

2人はホテルに戻り、もう1泊した。戸建てという大きい買い物をしたので、Bはホテルの部屋のネットで多少強引にお金をハッキングで抜いた。Aは欲しい物をまとめて購入し、さらにBに支払いを求めたのだった。

翌日、一軒家であるアジトに戻り、欲しいものとして購入した置き配を家の中に入れた。格安SIMと新しいケータイ2台分をお互い確認する。

テレビが入ると部屋に温かみが少し増したが、テレビの内容は未だに連続爆破犯の特別番組が流れている。

Aはタバコをくゆらせながら、不敵な笑みを浮かべた。

「これでやっと再始動できるな!」



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