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第22話 休息

外は雨である。

首相は死んだが、国民葬にはならなかった。


Bはむくれた顔をしながら、チーズチップスを頬張っていた。テレビは今回のテロを受け、自衛隊を導入すると報道されていた。いよいよ、という感じだったがBは実感があまり受け入れずにいる。Bはソファで寝返りをうちながら、チップスをバニラコークで流し込んだ。

Aが作業場から出てくる。Bのだらしない格好を見るや、

「チーズチップスは俺が食おうとしていたんだぞ!…全く」

と愚痴を吐いた。Bはニンマリと笑顔をAに見せて言った。

「Aは、自分で耳かきするの苦手なタイプでしょ?」

急に突拍子のないことを言われドキッとしたが、

「ど、どうして知っているんだ…?」

「でしょーじゃあ僕が耳かきしてあげるよ、ほらほら」

「お、おう」

AはBの膝の上に頭を乗せた。

「結構溜まってるじゃーん」

Bは器用にAの耳をかき混ぜた。

「はい、じゃあ今度逆側」

Aは頭を逆にし、身を委ねる。

「どう?」

「何だかよく聞こえるようになった気分だ」

「そりゃそうだよ、かなり溜まってたもん」

「じゃあ今度は俺が…」

「あー僕はいいの、一人で出来るから」

「今日もヒマだな…」

部屋にシンとしたものが走る。

「そうだ!ステーキ食べに行こうステーキ!」

「ステーキ…?」

「体力つけておかなくちゃね。だめ?」

Aは頭の後ろをポリポリしながら、

「だめじゃないけどさぁ…外、雨だぞ?」

「カッパ着てバイクで行けば大丈夫!準備準備」

Bは早速とばかりにバイクを出しに外に出た。

Aは仕方がないとばかりにカッパを2着取り出した。


ステーキ店は駅前すぐの場所にあった。モダンな音楽が流れる中、Bは元気よく

「すみませーん!!」

と挨拶した。あわててコックがやってきて、

「あ、いらっしゃい」

と焦りながら応答した。

「いい雰囲気じゃないの!ねぇA」

「そうだな」

そう言うと出された水を一気飲みした。

「ご注文はお済みですか」

ウェイトレスが注文を取りに来る。

「僕はね―サーロインステーキ500グラム」

「500グラムですか!?」

「そう、500グラム」

そちらのお方は…

「サーロインステーキ200グラム」

「かしこまりました、少々お待ち下さい…」

ウェイトレスはしずしずと下がっていった。

「お前な、残すなよ」

「ぺろりだよ〜」

25分ほどして、ステーキがテーブルに運ばれてきた。さすがに500グラムのステーキは分厚い。

「うまそー!」

「…狂ってる」

Bがステーキを半分ほど平らげた頃である。Aは神妙な面持ちでBにけしかけた。

「今後の事だが…」

「うまー!」

「聞いてるのか!」

「なに〜?」

「俺の頭の中には、最終目的がある。」

「最終目的?」

「そうだ、最終目的だ。しかも急がなくちゃいけない」

「何なのさ、その最終目的って」

「蛙谷だ」

「それってえーと、挑発動画を送ってきたおっさん?」

「そうだ」

Bはステーキにかじりつくのをやめずに訪ねた。

「なんで蛙谷なの?理由が分かんないんだけど」

「それはおいおい話すとして、最近蛙谷は署に出勤してないようなんだ。最初のミッションとして、蛙谷を署に引きずり入れるのが大事になってくる」

Bは最後のかけらを口に入れて満足気にゲップをした。完食だ。

「で、どうやって蛙谷に呼びかけるのさ?」

「…また多少乱暴だが、案がある。聞いてはくれないか?」

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