淡雪 < あわゆき >
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「淡雪」
アスファルトに触れて淡雪が
跡も残さず霧散した
そんなふうに記憶も消えてしまえばいいのに
無かったことにしようともがくほどに
心に深く刻み込まれる
僕の言葉はただひたすらに君を壊すだけだった
僕の望みはただひたすらに僕らの日々を砕いていった
でも僕の心はただひたすらに君を抱きしめたかったはずなのに
淡雪のいのちは儚い
けれど
降り積もった雪はなかなか消えない
なかなか消えない痛みは
降り積もった年月のぶん?
淡雪の気持ちは知れない
けれど
もっと耳を済ませば聴こえたかもしれない
消え往く時の声が
いつ来るかわからぬ春待ちながら
溶けない雪を抱いて君を想う
触れたら消えてしまうような
淡雪の君を
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