聖夜の告白〜サンタさん、俺(僕)に『勇気』をください〜
こんにちはこんばんは、sha-k_3です。
今回は公式企画のテーマが『勇気』ということで、ワタシの思う勇気を書いてみました。
視点は順番に切り替わっていきます。
自由に執筆していくのでよろしくお願いします。
俺、黒羽裕には好きな人がいる。
出会ったのは今からちょうど1年前、クリスマスの日だった。
その時俺は、人生で初めての一目惚れをしたんだ。
その日から今日まで、俺たちは親友として一緒に過ごしてきた。
ショッピングしたり、ゲーセンに行ったり、2人だけで旅行にも行った。
もしかしたら俺は男だと意識されてないのかもしれない。
明日のクリスマスは、デートに行く。
まあ、デートだと思っているのは俺だけかもしれないけど。
そして、明日俺は彼女に告白する。
ダメかもしれないけど、これから一緒にいられなくなるかもしれないけど、それでもいい。
俺はどうしても、彼女の特別になりたいんだ。
きっと今は、たくさんいる友達の1人だろう。
だから、俺は恋人になって特別になりたいんだ。
もしフラれるなら、明日しっかりとフラれよう。
それで、この1年間の恋を終わらせるんだ。
だけどやっぱり、今まで一緒にいた彼女に告白には一歩を踏み出さなくちゃいけない。
「どうかサンタさん、俺に『勇気』をください」
俺はサンタに願いながら、ベッドに潜り込んだ。
◇
僕の名前は白石冬雪。
僕には今、好きな人がいる。
その人と出会ったのは今から1年前、お互いにぼっちだった僕たちが仲良くなったんだ。
その日から、僕は彼と遊ぶようになった。
水族館や映画館にも行ったし、カラオケも一緒に歌った。
お泊まり会もしたはずなのに、彼は僕に手を出してはくれなかった。
やっぱり僕は友達としか思われていないようだ。
彼のことを好きだと自覚したのは、彼がナンパから助けてくれた時。
男たちを追い払う彼の姿にドキッとして、僕が彼を好きだったことに気付いた。
明日、12月25日はデートである。
きっと、そう思ってるのは僕だけなんだけどね。
そして明日、僕は今まで彼に、秘密にしていたことを告白する。
多分、彼はもう一緒にはいてくれないだろう。
だって、1年間ずっと彼を騙し続けてきたんだから。
そして僕は彼にフラれる。
僕が想いを伝えるまでもなく。
でもそれでもいい。
僕はもう彼に、嘘をつき続けたくないんだ。
この恋を明日、終わらせよう。
「サンタさん、どうか僕に、告白する『勇気』を」
僕はサンタさんに願う。
明日だけでいいから、僕はこの秘密を打ち明ける勇気を望んだ。
そのまま僕は、いつも彼と出掛ける時よりも強く、この身体のことを恨みながら眠りについた。
◇
「お待たせ!待たせちゃったかな?」
「大丈夫だよ。俺も今来たところだし」
「…絶対嘘でしょ」
「別に〜嘘じゃないけどな〜」
「30分は今に入るってこと?」
「ぎ、ギクっ!」
「いやわかりやすすぎだよ裕」
裕と冬雪は、駅前にあるクリスマスツリーに集合していた。
「それじゃあ行くか」
「どこから行く〜?」
「そーだな、まずは飯食い行くか」
「オーケー。せっかくのクリスマスだし、オシャレなとこにしない?」
「それなら、最近できたパスタ屋さんなんてどう?冬雪好きでしょ?パスタ」
「良いね。もちろん大好きだよ」
2人は並びながらパスタ屋さんに向かって行く。
「どのパスタにする?」
「どうしよっかなぁ」
パスタ屋さんについた2人は対面で座り、メニューを眺めていた。
「俺カルボナーラにしよっかな」
「それじゃあ僕はカニとトマトクリームのパスタね」
「りょーかい。店員呼ぶよ」
しばらくして、店員が注文を聞きに来た。
2人は注文を終える。
「お金はどうする?」
「え〜裕が奢ってよ」
「いや割り勘だからな」
「あははっ。冗談だからさ」
「この前それでほんとに奢らした奴が何言ってんだ」
「それはごめんってw」
「何わろてんねん!」
2人が雑談をしていると、料理が運ばれてきた。
「「いただきます」」
「ん!これ美味いな」
「僕の手料理とどっちが美味しい?」
「お前料理できないだろ。この前も俺が作ったし」
「で、出来ますぅ〜。か、カップ麺くらいなら、ね…」
「よしもうお前にはご飯作らないわ」
「わー!ごめんごめんって、一口あげるから許して〜」
「しょーがねーな」
「はい、あーん」
「む。こっちも美味しいな」
「でしょ?そしたら裕のも一口ちょうだいよ」
「別に良いけど。ほれ、あーん」
「あーむ。うん!ソースが濃厚で美味しい!」
「だろ?やっぱカルボナーラは良いんだよ」
「いやいやトマトソースの方が良いから!」
「どこに突っかかってんだよ…」
「ほら、冷めちゃうから早く食べないと」
「お前のせいや!」
「あははっ」
2人は喋りながらパスタを食べすすめていく。
「いやー悪いね。結局奢ってもらっちゃって」
「お前が財布忘れたのが悪いんだろが」
「あそこは電子決済ができなかったからさー。次は大丈夫やで!」
「ちゃんとチャージしてある?」
「もち」
「はー。心配だな」
「なんでよ!?」
2人は次の目的地であるショッピングモールに向かう。
「それで?今日は何買うの?」
「えーとね、新しい服と、あと雑貨かな?」
「はーい、荷物持ち裕頑張りまーす」
「いや自分の買い物しなよ!?」
「くくっ。いつもの店しょ?」
「そのとーり」
「ねぇこれ似合うかな?」
冬雪が服屋にて、試着をして裕に見せている。
「おお、良いんじゃないか。それならこっちのワンピースとかはどうだ?」
「何も言わずにいつのまにか試着する服持ってきてんの怖いんだけど」
「辛辣!?」
雑貨屋でそれぞれ欲しいものを見ている。
「ねぇねぇ裕?」
「お?どした?」
「裕の家って確か箸全然なかったじゃん。予備にこれ買っとけば?」
「お、良いデザインじゃん。カッコいい」
「あ、でも裕には似合わんからやめとくか」
「さっきから何かと酷くないか?」
「べっつに〜?」
買い物も終わり、2人はクリスマスツリーのところに戻ってきていた。
「「なぁ(ねぇ)」」
2人が同時に口を開く。
「あ、すまん。先いいよ」
「ごめん。それじゃあ先に言わせてもらうね」
冬雪は真剣な表情になる。
「あのね、実は僕…今まで黙ってたけど男なんだ!ずっと騙しててごめんなさい!」
冬雪は裕に頭を下げる。
「そ、そうなのか…」
裕は豆鉄砲を食らったかのような顔になる。
「うん、ごめんね。でも、僕ね、裕のことが好きになっちゃったんだ。気持ち悪いよね、男が男を好きになるなんて。今までありがとね」
そう言って冬雪はその場を立ち去ろうとする。
「待って!」
しかし、裕が冬雪の腕を掴んだ。
「俺は、お前が男だったことにはめちゃくちゃ驚いたけど、それでも俺は、冬雪のことが好きだ!」
「へ…」
「別にお前が男だからって関係ない!俺は冬雪を好きになったんだから」
裕が右手を冬雪に差し出し、頭を下げた。
「好きです。俺と付き合ってください!」
その言葉に、冬雪はぼろぼろと涙を流してしまう。
そして、裕の手を掴んだ。
「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」
裕が顔を上げて、冬雪と見つめ合う。
そのまま2人の距離が近づいていく。
初めて2人が出会ったクリスマスツリーの前で、2人の距離はゼロになった。
サンタさんがくれた『勇気』が、2人のことを強く結んだ。
どうもsha-k_3です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆さんも『勇気』を振り絞って、頑張ってみてくださいね。
これからも自由に執筆していくのでよろしくお願いします。