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最終話 後編 「星の瞬く間に」

スペードは手に一つの装置を持っていた。

ペリアは自分で作っておきながら忘れていた。

その装置の存在を。

「それは…抑制装置」

スペードはしたり顔をしている。

「これを私につければ…終わるんだよ…何もかもね」

「そうか…この世界を作るためにお前の能力を使ったからか」

「そう…私がベースになってるからね…私がいなくなれば拡張された世界も同時に消えるんだ」

スペードは何の合図もなしに抑制装置を自分にはめた。

「世界が閉じるまでの間…がんばれよ?」

「は?え?ちょっ?唐突過ぎるぞ」

「大丈夫…根回しはしてるさ…ジョーカー」


ペリアはその言葉でスペードの意図を察した。

世界が閉じるまでの間…それまでに自分たちが何を為すべきか…


ペリアはスペードを抱え自分の周りにバリアをはり、この空間から離れた。

その直後ペリア達のいた空間は光に包まれて消滅した。


ペリア(早い…もう察知したのか…)


逃げるペリアの前にシュウリとナオが立ちはだかる。


「スペードを…渡して」


「珍しいな…いつもなら力づくで奪い取るのに…」


ペリアの背後からナオが斬りかかる。

それをダイヤが遮る。


「まあ…そういうことだな。注意をひくための声かけだ」

声がする。

シュウリが睨み付ける先にはマークス、クローバー…そして多数の魔法少女たちがいた。

クローバーはシュウリに精神魔法をしかける。

瞬間シュウリの動きが止まる。

ペリアはマークスとアイコンタクトを交わし、その場から離れる。


「まて!行かさない!」

追いかけようとするナオをダイヤとマークスがとどめる。

「邪魔をするな!」


「悪いが…それはこちらのセリフだ」



シュウリに向かって多数の魔法が放たれる。

だが、シュウリには届かなかった。


「いい加減に…しろ…やっと…やっと…この世界を手に入れたんだ…お前たちなんかの都合で壊されてなるものか!」


シュウリは力を解放し魔法少女たちを屠る。

ナオもダイヤに一閃を浴びせる。

だが、これだけで終わりではなかった…

シュウリやナオが何人もいるように…魔法少女たちもまた…何人も存在していた。

マークスが笑みを浮かべる。


「すまないが…全てをやり直すための大事な契機なんだ…全力で引き留めさせてもらうぞ」


シュウリとナオに無数の魔法少女たちが群がる。



世界は着々と綻んでいく。

すでにいくつもの世界は消えている。

ペリアとスペードは終わりを確信していた。


(耐えてくれ…みんな。この世界を…本当にやり直すために…)


ペリアはある場所に行きついた。


(まあ…終わらせるなら…ここだよな)


『アガペル』の地下最奥幾重もの壁に阻まれた空間であった。


(ここならさすがに…一瞬で吹き飛ばされることもない…)


ペリアは腕の中でうなだれるスペードに尋ねた。


「…なぁ。聞かせてくれるか?」


「なんだ。正直もう頭も回ってないよ」


「簡単にでいい…どうして手を貸したり、裏切ったりしたんだ?」


「…ちょっと…世界に関わってみたくなったんだ…きまぐれさ…後はアンタと同じ…たくしたかった」


「そうか…私たちは…賭けに負けたんだな…」


「…まだ…分からないよ」


「ん?どういうこと…」


ペリアは気配を察した。


(さすがに速すぎだろ…全力がこれほどとは)


壁が開く。

シュウリが姿を現した。

シュウリはペリア達の前にフラフラと歩いていく。


「ねえ…どうして…?何もしなければよかったのに…何かするの?どうしてこわそうとするの?

どうして委ねておきながら…茶々を入れるの?ほっといてよ…もう…だれも…何もしなければ…傷つくことも…命を落とすこともない…なのになんで?なんで動くの?戦うの?」


「人…だからだ」


スペードが声を絞り出す。


「私達もまた…人だから…動くしもがく…できることはないか…必死で考えるんだ…間違っているかどうかは置いといて」


「…間違えながら…それでも進んでいく」


「その結果がコレなの?もう…何もかも壊れちゃった…」


ペリアがハッとした。


「スペード…そうか。それがお前の目的だったのか…」


スペードが静かに頷く。


「シュウリ…スペードは…お前の邪魔なんてしてないぞ」


「どういうこと?」


「スペードはこの世界を本当にやり直すための最後の賭けに出たんだ」


「…賭け?」


「まもなくスペードによって増殖した世界が、極限まで縮小する…その瞬間…シュウリお前の力を使うんだ…増幅装置を使ってな」


「能力…反転させる…?」


「そうだ…世界が消えてなくなる瞬間にそれをひっくり返せ。そして…また作り直せ…世界を」


「…作り直す…私が?」


「お前しかできない…託した。もうすぐ…くるぞ」


シュウリは能力増幅装置を身に着ける。

そして収縮が極限まで迫る。


「…反転」


白く染まった世界に色が戻る。

止まった世界が再び動き出す。

それはまるで星の瞬きのように一瞬で


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


陽光が窓から射し込む

シュウリが目を開ける。


ドアの先から声がする。


シュウリはその声のする方へ向かう。


もう…なにも秘密などない普通の少女は、ドアの先にいる愛しい人とのいつもどおりの日々をくりかえす。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とある建物の一室にペリアはいた。

ペリアは真向いに座るスペードにコーヒーを勧める。


「15年が経過したけど…何も起きる兆候はない…おそらく…もう魔法少女は生まれないだろう…なぜそうなったのかは分からないけど」


「あんたに分からないなら、私にはもっと分からないよ」


「…そうか?お前は…なんとなく分かっている気がするぞ」


「…うーん。あれかもな…抑制装置を受けた私をベースに世界を作り直したから?とか?」


「…なるほど。まあ…合点はいく」


「いいじゃんもう…やっと…世界がうまく行きそうなんだからさ」


「そうだな」


「じゃ、この話はおしまいだ。美味しいケーキでも食べに行こうぜ」


「…あいつらも皆呼ぶか」


「そうだなお茶会…いや女子会ってやつだな」

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