第9話その4「希望」
シュウリは研究施設で、変わらぬ日々を送っていた。
カプセルに閉じ込めたナオを見つめ続ける日々…
時折外に出て、普通の少女を楽しむ。
既に、この街から命は消えていた。
いや、もはやこの時点でこの星のほとんどの命は消えており、残った命も消えるのを待つだけだった。
簡単に言えばシュウリは世界とナオを天秤にかけて、ナオを選んだのだ。
シュウリはその破壊衝動を全て外に向けた。
その結果がこの状況である。
「不思議だね… 昔は壊すたびに、胸がキュッってなってたのに…今は何も思わないんだぁ… 何だろうね… もう…何も感じない… 壊しても壊しても…悪いなぁとも…可哀想だなぁとも思えなくなっちゃったぁ… 私…もう終わりかな? もうこのまま…終わっちゃった方がいいかな… せっかく戻ったのに… 最初に自分を消してから…すぐにアガペルを潰したのに… 結局ダメだった… やっぱり私の破壊衝動は…どうしようもなかった…」
シュウリは懐から、増幅装置を取り出した。
「でも…この装置…まだ使えるみたい… だから…もう一度だけ試してみるよ… それでもだめなら…ナオ一緒に消えてくれないかな?」
「おいおい…どこまで身勝手なんだよ。お前は」
シュウリは声のする方向を向くと同時に攻撃を放った。
その閃光はスペードの半身を奪った。
スペードは何食わぬ顔で身体を再生させた。
シュウリの追撃が来る前に、スペードは増幅装置を突きつけた。
「それは…」
シュウリの手が止まる。
スペードはこの好機を逃さなかった。
「お前知ってるんだな!これを!やっぱりな…」
「なんであなたがそれを持っているの?」
「もらったのさ…あー ジョーカー?ペリア?って言えばいいのかな?」
「知ってる。どっちも」
「…なぁ?これで…お前は何をしたんだ?」
シュウリは黙した。
「…巻き戻した?とかか?」
「…よく分かるね」
「勘だ…というか、私はお前の本当の能力を知っているからな…それと増幅装置で何ができるのかって考えたんだ…」
スペードは続けた。
「なあ? 私はぶっちゃけ頭がよくねぇ!だが、お前と…そこのそいつなら…何か思いつかないか? お前と私の能力…それと増幅装置と抑制装置…それで何ができる? 何か…できそうじゃねぇか? そう思うのは私だけか?」
「…できる。と、思う」
シュウリはナオの装置を解除した。
「…うん。多分できる。私達なら…」




