第8話 その2「望み」
マークスはシュウリに近づく。
シュウリは無抵抗なマークスに恐怖を覚えた。
実力としては、同格。
純粋な戦闘のみに関していえばシュウリに分があるが、用いることができる魔法の種類はマークスの方が上、さらにここは平地になっているとはいえ敵城である。
シュウリは罠や援軍にも警戒した。
しかし、警戒すればするほど、ここには何もないことに気が付いた。
他の魔力は無い。
マークスの魔力もほとんど感じない。
嘘を言っているようでもなかった。
「さあ、私の首をとるがいい。 それで、全ておしまいだ」
「…ナオを襲ったもう1人はどこにいる」
「…ジョーカーか、あいつは抜けたよ。 あいつはもともと強い存在を作りたかっただけ… もう気が済んだんだとさ」
「…身体をバラしたけど… 何も含んでなかった」
「そりゃあ、そうだ。 あの身体は普通の人間だからな。 あくまで媒介に過ぎないのさ」
「…で、そのジョーカー… ペリアはどこにいる?」
「それは言わない。 一応そういう契約だからな」
「あくまで魔法少女たちで話を完結させる気?」
「まあ、そういうことだな… お前に全魔法少女の処刑をしてもらう… これが私たちの目的だ」
「なら、そういえばいいじゃない」
「そうもいかんさ。 お前が一番分かるだろ? 私たち魔法少女には破壊… 戦闘衝動が植え付けられているということを… むざむざ処刑台には登らんさ…どうせ散るなら戦いの場で散りたいのさ だから皆お前に立ち向かったんだ」
「勝手に自壊すればいいじゃない… なんで私なんだよ… 私はただ、平穏に生きたいだけなのにっっ」
シュウリの目の前にマークスがたどり着いた。
「お前にもムリだよ。 平穏に生きるなんて…」
マークスの身体はシュウリの攻撃によってもはや原型を留めていなかった。
辛うじて残った右手の人差し指と親指を使って、首元の制御装置を取り外し、シュウリに渡した。
「やる。 使うも使わぬも… お前の自由だ… シュウリ… これがお前の最初で最後の… 唯一にして無二の… 自由だ… 好きにしろ」
そう告げると、マークスの身体は崩れ落ち、雲散霧消した。
シュウリは、地面に落ちた制御装置を踏みつけた。




