第8話その1 「制御装置」
迫りくる光を前にダイヤは笑みを浮かべていた。
それは安堵の笑みであった。
(ブレイク・ハート… いや獅子島シュウリ… すまないな お前を私たちの救世主にしてしまった。
辛いだろう… 苦しいだろう… だがお前しか、私たちを救うことはできないんだ… もう私たちは限界なんだ… 実験道具にされるのも、戦いの道具にされるのも…もう耐えられないんだ お前ならなるべく苦しまないように壊してくれる… 皆それを期待しているんだ)
「ありがとう… シュウリ」
その言葉は辛うじてシュウリに届いてしまった。
シュウリは先ほどしたように転移魔法を使い、ダイヤの身体の位置を変えようとした。
だが、ダイヤはそうさせぬよう、シュウリの魔法が届く前に閃光に身を投げた。
シュウリはダイヤの気配が完全に消失したことを確認してから、地面に降りた。
シュウリが立つ数十メートル先にワームホールが出現した。
中からは総帥マークスが現れた。
シュウリは完全に姿を確認する前に光線を放つ。
マークスは読んでいたかのようにバリアで防ぎながら穴から身体を出した。
「相変わらず… 敵の言葉を聞く気はないのだな? シュウリ」
「聞きたくない」
「ならば、私の言葉なら?」
「…少しだけなら」
「お前には2つ選択肢がある… このまま私たちと闘うか… それとも、この制御装置をつけてひっそりと生きていくか… だ」
マークスはチョーカーを取り出して、シュウリに見せつける。
「悪いけど… そのチョーカーの正体が不明なうちは選択肢になり得ないよ」
「それも、そうだな…」
マークスは手に持っていたチョーカーを自身の首に巻いた。
「…魔力を感じない?」
「そう。 まったく感じないだろ? 今、私の魔力はこのチョーカーによって完全に封じられているのさ… どうだ? ちょっとは信用できるだろ」
シュウリは指先から細い光線を放ち、マークスの腕を貫いた。
「おいおい、痛いじゃないか? 再生もできないのだぞ」
マークスの傷口からぼたぼたと血が流れ落ちる。
マークスはそこを抑えるでもなく、痛がるでもなく、そのままシュウリを見つめた。
「どうだ? 欲しくはないか? これがあれば、平穏な生活と死を迎えることができるぞ?」




