第7話 その2「奇襲」
シュウリの寝息を確認すると、ナオは木片に布を巻き、それを自分の膝と入れ替えた。
自由になると、シュウリの身体を簡易フィールドで覆った。
ナオは立ち上がり、後ろを振り向く。
睨み付ける先には『アガペル』の総帥マークスが立っていた。
風がマークスのマントをひるがえす。
それが元の位置に戻ろうとする間にナオは10発の銃弾を放った。
マークスは手をかざし、銃弾を粉砕する。
さらに上から降ってきていた無数の弾の雨も次々と消し去っていく。
向かい来る光線はマントに魔力を込めて防いだ。
四方八方から、止むことなく弾や光線、ガス、炎、高圧水がマークスを襲う。
マークスは最小限の動きと魔力ですべての攻撃に対応していく。
空からの襲撃が止んだ瞬間、マークスの背後に巨大なミサイルが迫っていた。
マークスはそれを粉砕しようと手をかざした。
瞬間ミサイルは分裂し、中から拘束具が現れて、マークスの腕と脚の枷となった。
拘束具には魔力を抑え込める装置が組み込まれていた。
ナオは一気に距離を詰めて、マークスの胴を両断するように刃を振るう。
マークスは肘と膝を用いて、その刃を受け止めた。
そして体勢を低くして、ナオに蹴りを浴びせる。
ナオは後ろに下がりそれを避ける。
と、同時に胴体に向けて銃弾を放つ。
マークスは腕の枷で、銃弾を受け止める。
「おいおい… 名乗らせてもくれないのか?」
ナオは何も反応せず。
距離をとりながら銃で追い詰めていく。
「こちらは取引をしに来たというのに… 話の一つでも聞いたらどうだ?」
ナオの表情はピクリとも動かない。
「ブレイク・ハートの制御装置が完成したのだぞ?」
ナオの眉がピクリと上がる。
その瞬間をマークスは見逃さなかった。
「クローバーとの戦闘で、最終的な確証が得られたのだ。 内側からならば、ブレイク・ハートを制御することができるとな」
「信じられない といった顔をしているなぁ? だが、安心しろ。 この情報は偽りのない事実だ」
「それで、はいそうですかと、納得できるわけがないだろう!」
「ハハッ ようやく口を聞いてくれたなぁ」
ナオはマークスに向けて再び集中砲火を浴びせようと構える。
マークスは舌を大きく突き出した。
その上にチップのようなものが乗っていた。
ナオは武装を止めた。
その瞬間、背後から放たれた光線がナオの半身を奪って消えた。
「ぐあああぁっっ くっっっ お、お前は…」
「遅いぞ、ジョーカー」
ナオの半身を奪ったものはジョーカーと呼ばれた。
仮面で顔を覆い、身体はローブで覆われていた。
ナオはマークスとジョーカーに対して、全火力を放った。




