第5話 その4「サク」
「残念だけど… そいつらはあくまで時間稼ぎよ」
クローバーは魔法を展開した。
クローバーの身体から同心円状に波紋が広がる。
その波紋は銃弾も建物も、地面に散らばる肉片も… 触れるものすべてを分解していく。
「ふふふふふ… 結界魔法の応用よ。 この結界は外の物質を消しながら広がる。 さて、どこまで逃げられるかしら?」
ナオはその広がりを冷静に見つめている。
「奇遇だな。 私も… 時間稼ぎだ」
その言葉がクローバーの耳に入るや否やクローバーの身体を巨大な剣が貫く。
アスファルトに割く草のように、剣は地面を割り、生える。
その衝撃により、結界魔法は消失した。
クローバーは両断されながらも地面に向かって爆発魔法を放つ。
剣は砕けて、地面に穴が空く。
だが、そこに人の気配はない。
クローバーは頭上の気配に気が付き、急いで身体を治すと後方に飛んだ。
スペードほどではないが、クローバーもまた、高い再生能力を有していた。
だが、その動きすらもシュウリに読まれていた。
地面に空いた巨大な穴から、閃光と共にシュウリが現れた。
(キングでも… 足止めにすらならんか… だが、身体の半分は機械で処置しているところを見ると… 最初の攻撃事態は効いていたようだな)
シュウリの半身は、研究所にあった機械の寄せ集めで応急処置されていた。
魔法により、無機物を操り、それを自身の臨時のパーツに充てていたのだ。
シュウリは話をするまもなく、クローバーに対して、魔法を放つ。
さらに、ナオもクローバーに銃弾の雨を降らせる。
(もう少し… もう少し近づいてこい)
クローバーは攻撃をかいくぐりながら、ナオの方へ走る。
シュウリはクローバーとの距離を詰める。
(かかったわね… 私の間合いにっっ)
クローバーは魔法を展開する。
クローバーが得意とする魔法は結界魔法である。
多くは防御や広範囲の殲滅に用いる。
しかし、クローバーの本領はそこではなかった。
誰にも言っていない切り札…
それは広範囲の精神破壊魔法である。
自身を中心とし、一定範囲内の活動を強制的に停止させ、その精神部分に干渉する魔法である。
5年間研究に研究を重ねて、練り上げた精神魔法…
展開中は自身も行動できなくなるが、相手の行動や思考を完全に封じ込める魔法である。
クローバーはこの2人を一気に殲滅できるチャンスを待っていた。
物理的には、ほぼ不死に近いこの2人を一挙に葬る。
この時を…




