第3話 その4「スペード」
シュウリとナオは地上の一際強い魔力の元に飛んだ。
シュウリの予想通り、魔力の元にいたのはスペードであった。
出現ポイントはスペードの後ろ1m。
ナオはマシンガンを放つ。
シュウリは詠唱不要の初級魔法を連続で放つ。
スペードはシュウリたちの方を見ぬまま、背側に防御魔法を張り、同時に背中から、槍のように鋭利なベクトルを飛ばす。
シュウリとナオは別れて、避ける。
シュウリは横のビルと地面を動かす。
地面を隆起させて、スペードの足から貫こうとする。
同時に横のビルで圧し潰そうとする。
スペードは足に魔力を込めて、地面を壊し、浮遊しながら回転し周囲に魔法を放つ。
押し寄せるビルは分解されて消えていく。
シュウリは地面に散らばっている魔法少女たちの肉片をかき集めて球状にし、スペードに向けて射出する。
スペードが魔法で消そうとするのに合わせて、シュウリは肉片を散らばし、スペードの四方八方から攻撃する。
スペードは身体中から魔法を放ち、周囲一帯を消し去る。
周囲にホコリと血肉の破片が舞う。
シュウリとナオは距離を取る。
「ナオ… ここは私がやる… 残党をお願いしていい?」
「分かった… その方がよさそうだな… 遠慮させてすまない」
ナオは魔法少女たちの残党狩りに向かう。
「クハハハハァ 相も変わらず容赦がねぇなぁ… ブレイク・ハートさんよぉ?」
「魔法少女たちを、捨て駒にする戦い方… 貴方こそ相変わらずね」
「魔法少女ねぇ… こいつらはぁ… なりそこないじゃん? 私らみたいに、固有魔法をつかえて、初めて魔法少女って言うんだ」
シュウリはスペードが話す最中も魔法攻撃を絶やさない。
スペードは防御魔法でいなしていく。
「おいおい。 ちょっとは… 昔話でもしようぜぇ? こう見えて私は… アンタのファンなんだ」
「黙れ!」
「アンタの初戦闘… 私は既に上官で、アンタの上司兼制御役だったな… アンタは不敵にも敵地の中心に降りたち、範囲魔法を出しやがった。 敵も味方もなく… 何をするのか見ていたら… まさか武器や衣服を操って、全員締め上げて潰すなんて… 思いもよらなかったぜ」
「黙れ… 黙れっ」
「搾り上げられて、空に上がる血しぶきの… 壮観さ… 忘れねぇ… あれ以来… 私はすっかりアンタのファンなんだ… 握手ぐらいしてくれよぉ」
「…うるさいっ お前と戯れる気はないっ」
シュウリはナイフを取り出し、魔力でコーティングし、スペードへ投げつける。
同時に瞬間移動でスペードの上を取る。
そこから雨のようにナイフを降らせる。
「この街は面白いなぁ! 血の雨の次はナイフかぁっ」
スペードは前と上に防御魔法を張る。
と、スペードの左側から、巨大なミサイルが飛んでくる。
ミサイルはスペードの身体を巻き込み、爆発する。
さらにシュウリは爆発して散った破片をスペードの身体があるであろう箇所に集めていく。
シュウリは攻撃の手を緩めない。
攻撃魔法を容赦なく浴びせていく。
その嵐を抜けて一筋の光がシュウリめがけて飛んでくる。
その光はシュウリの左ひじから下を飲み込み、消えていく。
シュウリは左腕の断面を魔法でふさぐ。
「ハハッ… さすが… けど… うで…はとった…」
シュウリは周囲の地面に穴をあけ、スペードを地に堕とす。
そこに瓦礫、弾… 周辺の無機物を全て突き刺していく。
「がああああっっ ああっ く… くそおおおっ」
シュウリの断末魔の叫びが徐々に遠ざかる。
シュウリは残された右腕に魔力を貯める。
「消えろ」
シュウリはその光の玉をそっと、穴に堕とす。
大きく空いた闇の底で、光が破裂し全てを飲み込み収束する。




