【其之伍】召喚
どうやら僕は結界とやらの中に入り込んだらしい。……てか、結界って何?
まぁいいや。ここは一つ、レンゲちゃんにアピるためにも自己紹介をビシッと
「オレの結界を破るとは……何者だ貴様……?」
「ぃゃ……あの……」
え゛ぇ〜? 既に臨戦態勢な人が割り込んできたんですけど……
待て待て待て。落ち着け自分。うかつな発言は死亡フラグになりかねん。当たり障りの無い返事でやり過ごすしかな
「ヒャハハッ! こんな奴に結界を破られるたぁ、ざまぁねぇなぁ山吹様よぉ? さすがこの俺様、ヤグルマとは違うよなぁ!」
ちょ、おま……空気読めよぉおおおお!
「貴様ら……殺す」
『ら』って言うたー! 僕何にも言ってないんですけどー?!
「……式神召喚……」
ヤマブキが口の中で何やら呟く。
と、次の瞬間。
僕と青、ヤグルマの頭上からバレーボールくらいの白い塊がいくつも落ちてきた。たちまち身動きが取れなくなる。
「ちょ……これは一体……?」
「我が式神だ、小さいと思って侮ると痛い目を見る事になるぞ」
「シキガミ?」
見た事も無い生物だ。いや、生物かどうかも疑わしい。
「さて。まずは……」
そう言ってヤマブキが指を鳴らすと。
「がッッ?!」
ヤグルマが呻いた。見れば顔面にシキガミのストレートが決まっていた。おぉー、お見事。
その一発を合図に周りのシキガミがヤグルマに向かって一斉に襲いかかった。