【其之参】邂逅
りーん……りーん……
音は間断無く鳴り響き、共鳴し、溢れてゆく。
不思議な音の海の中で僕はふいに自分の身体が自由になったのを感じた。
うっすらと開いた目の前で目玉は悶えていた。 ぐにゃぐにゃと歪曲し、苦痛に身を捩っている様に見える。
どうやら間断無く続くこの『音』が目玉にダメージを与えているらしかった。
――と。
「よっしゃゴルァアッッ!!」
突然、耳をつんざく怒号と共に目の前に青い雷が落ちた――様に見えた。
「テメェは俺様が倒す!! ……この世界最強の俺様がなぁッ!!」
え、ちょ……誰?!
青い道着を来た青年が拳を胸の前で合わせると拳が淡く燐光を発した。髪の毛が電気を帯びた様に逆立ってゆく。
「ハァアアアーッ!!」
青年が両の拳を突き出し、目玉に突き立てた。
びくん!!と目玉が震えた。動きが激しくなる。内側からの何かに必死に抵抗する様に目玉は収縮を繰り返す。
「これで終わりだ!!」
青年の身体が青白い火花を散らした次の瞬間、目玉は大きく膨れ上がり、ついには弾け飛んだ。
「よっしゃあ! 俺様やっぱ最高最強ー!」
「……そんな雑魚程度で最強とは……笑わせてくれるな、相変わらず」
どこからともなく声がする。今度は誰?
ピキッ。その声に青年のこめかみに青筋が立つのがわかった。
「テメェ! 後からのこのこ来やがったクセに隠れて嫌味とはずいぶんとイイご身分だな、ぇえ゛?」
「……フン」
目の前が陽炎の様に揺らぎ、目にも鮮やかな黄色の色彩が滲む様に現れた。