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【其之壱】運命の日

 今日は僕の15歳の誕生日。


 朝から不思議な予感はしてたんだ。何かが変わる様な。何かが起こる様な。


 そんな不思議な気分でいつもの角を曲がる。その先には見慣れた僕の家が──




    ──無かった。



「・・・」



 目の前の見知らぬ長く続く路を眺める事、たっぷり3秒。



「……何じゃこりゃぁあああ!!」


 往年の名俳優ばりに叫ぶ齢15歳の少年。つまり僕。


 記念すべき15回目のバースデー。


 そりゃあね? 多少のサプライズ的な何かを期待してなかったとは言いませんよ?


 でもさぁ……


 僕が望んだのは同じクラスの気になるあの娘から「おめでと」メールが届いてみたりとか。あわよくばプレゼントと一緒に告られてみたりとか。


 そんなスイートメモリーであって、こんな神隠し的なドッキリでは断じてないッッ!!



「よ、よし! これは夢だ! もう一度あの角からやり直してみよう! そしたらきっと……!」


満面の笑みで振り返った僕は、目の前に立ち塞がる白い壁にただただ固まるしかなかった……。

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