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相性

作者: CLIP

太郎と花子は、付き合い始めてもうすぐ半年の二人、

とても仲良しで、一緒にいると楽しいのだけど、実は太郎は、花子に秘密があったのです

太郎はヘアフェチ…そう、女性の髪に関して、ちょっとだけ、いや、かなり興味があるのです

でも、大好きな花子ちゃんに、そんな事がばれたら

「太郎くん、おかしい!嫌いになっちゃうから」と言われてしまうかもしれない

いや、そのまま直球「変態!」と振られてしまう可能性だってある

い、言えない…やっぱり、言えない…俺が、こんな事を考えているなんて…

     

花子の長い髪、艶があって、イイ香りがして、ずーっと触っていたい

エッチする時も、花子の身体と同じように、長い髪が揺れる

顔に掛かったり、手でふわっとかき上げたり、ああ~埋もれてしまいたい!

と思ってしまうような、そのキレイな髪を…バッサリと切らせてしまいたい…

花子は、きっと嫌がるだろうな、でも、俺は許さない


「思い切り、短~く切ってやるからな」

花子に、カットクロスを巻いて、良く切れそうなハサミを目の前に差し出す

怖がって、怯えたような花子の目が潤んでいるけど、俺はやめない

(ちょっとだけ可哀想かなって気持ちになるけど)

長い髪を掴むと、いきなり肩くらいの所で…いや、あごにしよう、あごくらいの所にハサミを当てる

「いくよ…」そう言って、ハサミを閉じる…

「ジャキッ…」と言う髪が切られる音と、花子の小さな悲鳴

そして俺の手に握られた長い髪…それを床に無造作に落とす

いや、落とす前に「こんなに切っちゃったよ」と見せようか、うん、そうしよう

後はもう、そのラインに合わせて、ザクザク切り進む…

反対側まで真っ直ぐに切っていって、あごラインのボブにする

(本当はそんなに器用じゃないけど、想像だから良いんだ)

いつも長めにしている前髪も、この際だから眉が見えるくらいで、パツンと切っちゃえ

可愛い目がはっきり見えて、きっと、もっと可愛くなる

襟足の産毛は…キレイに剃ってあげないと…傷付けないように、そぉっとそぉっと…

頭の中で、必死に花子の襟足を剃っている太郎は、目を閉じてうっとりしていた

想像は更に続く…


俺が切るのも良いけど、美容院に一緒に行って、

花子がバッサリ髪を切られる所を、じっくり見ているのも良いな

「思い切り切って来いよ」と『命令』しちゃったりして、花子は黙って頷く

美容院のカットクロスを巻かれて、美容師が長い髪を梳かす

それを鏡で、じっと見つめる花子…長い髪とも、それでお別れなのだから

「本当に良いんですね?」と何度も確認する美容師

その度に、俺の方を見て、それから不安そうに頷く花子

いよいよ美容師のハサミが動く

(ブロッキングの技術は良く判らないから、省く事にしよう…)

長い髪が、アゴくらいの長さでバッサリと切られる

美容師は、切る髪を持ってたりしないので、そのままカットクロスの上を滑って床に落ちる

その落ちた音に、ビクンとした花子は、床に広がった自分の髪を見つめる

でも、美容師がそぉっと花子の頭を真っ直ぐに向かせ、続きを切る

どんどん髪が切り落とされていく

花子の細い首があらわになっていく姿、カットクロスを滑って落ちていく髪

鏡の中の花子の顔は、不安げで、怖さにぎゅっと目を閉じたり、

でも、どうなるか不安で、またすぐに開いたりして、

そんな花子の一部始終を、俺は余裕たっぷりに見ている

(本当は、心臓バクバクで、顔も耳も真っ赤になりそうなくらいなんだけど)

カットが終わり、あごラインのボブになった花子は

カットクロスを外されて、イスから立ち上がり、俺の方へ歩いてくる

恥ずかしそうに、あらわになってしまった首筋なんかを触りながら…

「まあまあだな」

俺は切ったばかりの花子の髪型を見て、表情を変えずに、そう言う

(本心は「花子ちゃん、すご~い可愛いよぉ~」と抱き付きたいくらいだけど、我慢する)

頭の中で、そんなシーンを想像し、ニヤニヤし続ける太郎


はぁ~またやってしまった…

太郎は、自分が「とんでもない恥ずかしい想像」をしてしまったと、後悔していた

俺は確かにヘアフェチだけど、大好きな花子ちゃんの長い髪を

「バッサリあごラインのボブ」にしてしまうなんて!やり過ぎかもしれない…

きっと、花子ちゃんは泣いてしまう

いや、俺がこんな「とんでもない想像」をしている事を知ったら…

ダメだ、やっぱり言えない、絶対に言えない…


と、純情な太郎が、そんな想像をしているその頃、花子は…



私…やっぱりかなりのヘアフェチなんだろうなぁ~

毎晩、その関係のサイトを見ては、ドキドキしたりしてる

長い髪をしているけど、本当は思い切り短く切ってしまいたい…ううん

「思い切り、短く切られてしまいたい」

でも、太郎くんは、この長い髪「女らしくて素敵だよ、似合ってるね」って言ってくれたし

まさか私が『こんなすごい事』考えてるなんて知ったら

「君がそう言う人だとは知らなかったよ」って嫌われちゃうかもしれない

ううん…「僕には付いていけないよ」って、振られちゃうかもしれない

い、言えない…やっぱり、言えない…私が『こんな事』を考えているなんて…


この長い髪…勿論大事にしてるし、頑張って伸ばしてきた

その髪を、思い切りめちゃめちゃにされてしまいたい…

そんな事になったら、そのままじゃ外も行かれないし

友達にだって、何て言われるかわからないけど

「これから俺が、その髪を思い切り切ってやるからな」って言われて

私は、「やめて~」って言うけど、でも許してくれない…

(うふふ)


裸でイスに座らされて、その上にカットクロスを巻かれる

(本当は縛られちゃったりされてもイイんだけど)

もう逃げられない、って言う状況…勿論、カットクロスは手が出ないタイプ

長い髪が、ゆっくりと丁寧に梳かされて、そして太郎くんが耳元で

『覚悟は出来てるね?』と言う

私は「イヤ、やめて…」と言うんだけど、そんな事はお構い無しにハサミが近づいてくる

いきなり耳の上辺りにハサミが入り、根元近くで

「ザクッ」って髪が切られてしまう。ハサミのひやっとした感触

それと同時に、そんな所で無造作に切られてしまったと言うショック

どうしよう、どんなにされちゃうんだろう、と言う不安な気持ちとは裏腹に

身体の中が熱くなってきて、顔も火照ってくる

「ほら、こんなに切っちゃったよ」

太郎くんが、切られた長~い髪を、ひざの上に投げて、私はそれを見る

さっきまで自分のものだった髪が、根元近くから切り落とされて、ひざの上にあるなんて…

「い、いや…」

小さな声で言ったけれど、そんなのは、次のハサミの音に消されてしまう

手当たり次第に、長い髪を掴んでは、ザクザクとハサミを入れていく。

頭半分が、すっかりトラ刈りにされてしまったようだった。

カットクロスを滑って、同じようにひざの上に溜まっていく髪もあれば

床に落ちて、ばさっと音を立てて広がる髪もある

「こんな頭じゃ、恥ずかしいよな」

いつのまにか太郎くんは、ハサミから、バリカンに持ち替えている

スイッチが入る…お母さんが子供の散髪に使うような家庭用のじゃなくて

ちゃんとしたお店で使うような、大きいバリカン

「キレイに刈ってやるからな」

嫌がる私の頭を押さえ付けて、そのバリカンが額の真ん中から潜り込んでくる

残っていた数センチの髪が、あっと言う間に刈られ

私は、とうとう坊主にされちゃうんだ…あ~バリカンが、私の髪をすべて刈っている…

花子は、まるで、今そうされているかのように、目を閉じ、うっとりとしていた

想像は更に続く…


太郎くんに無理矢理切られちゃうのもいいけど、

お店に連れて行かれて、切られちゃうって言うのもいいなぁ

「イイから黙って俺の言うとおりにされるんだぞ」

私は、おじさんしか行かないような、商店街にあるような床屋さんで

黙って、ゴツイ造りのイスに座らされている

首には、真っ白いカットクロス…首が苦しいくらいにきつく巻かれて

てるてる坊主のような格好で、もう絶対に逃げられない

「じゃあ、思い切りやっちゃって下さい。」

太郎くんが、お店の人に、そう言って、私は自分がどうされるのかわからないまま

床屋のおじさんは、胸ポケットから櫛とハサミを取り出して

「本当にやっちゃっていいんだね」と言いながらも、何だか嬉しそうで

そんな様子を、太郎くんが、じっと見ている

「邪魔だな」と言いたげに、長い髪を掴んでは、ザク、ザクと切り落としていく

あっと言う間に、私の髪は、ショートになってしまって、でも更にハサミが動いて

後ろの髪を、櫛ですくい上げては、チョキチョキと軽快に刈り上げられていく

「バリカンでやっちゃって良いですよ、思い切り…地肌が見えるくらいに…」

太郎くんが、そう言うと、おじさんは「じゃあ」と戸棚からバリカンを取り出す

「一番短い刃にしちゃいますよ」とか言いながら…

私は頭をぐいっと押さえつけられて、そうするとイヤでも床に落ちた長い髪が目に入る

こんなに切られちゃったんだ…と感傷に浸るヒマもなく、大きなバリカンの音

そして…うなじにぐいっと押し付けるようにして、冷たいバリカンが入ってくる

「ジジジジ…」髪を刈る音がして、バサバサと髪が刈られていく

「すごい刈り上げにしちゃってますよ」

おじさんが、わざわざ解説しながら、それでもバリカンは動きを止めずに、

どんどん上に上がっていく…もうやめて、もうそんな上まで来ないで…

願いとは反対に、バリカンは後頭部の髪を短く刈りながら

とうとうつむじの方まで上がってきてしまった。そんなに上まで…

バリカンは、また下まで戻り、さっきより勢い良くまたその隣を刈り始めている

私の後頭部が、くりくりに刈られてしまう頃、店のドアが開いて

男の人が二人入って来る…お客さんだ

「すいません、今このお嬢さんが終ったら、すぐですから」

床屋のおじさんが、そう言って、手を止めて振り返る

床に落ちた長い髪と、後頭部をくりくりに刈られている私を、驚いて見ているお客さん

「あ、いいよ、ゆっくりやってあげて…」

待ち合いのイスに座っても、二人は私の方をじっと見ているのが、判る

恥ずかしい…こんな所で、みんなに見つめられて、髪を刈られているなんて…

頭を上げようとしても、床屋のおじさんが、ぐいっと押さえ付けてしまうから

私は青々と刈られた部分を、自分以外のみんなに見せながら、下を向いているしかない

後ろの次は、横…耳の後ろも、上も、もみ上げもすっかりバリカンが入り

残すは、トップと前髪だけ…

「もう、ココまでやったら、全部刈っちゃってよ。くりくりの丸坊主に…」

太郎くんの声…ああ、やっぱり坊主にされちゃうんだ、それも青々としたくりくり坊主…

今度は、ぐいっと顔を上げさせられて、残った前髪にバリカンが迫ってくる

「すごいねえ~本当に丸坊主だよ」

お客さん二人が、冷やかすようにそう言っている

太郎くんも、じっと私が坊主にされていく姿を見ている

みんなが見ている前で、何度も何度もバリカンを走らされて、私は丸坊主にされている

花子は目を閉じたまま、その恥ずかしさに、顔を赤くしていた


はぁ~またやっちゃった…

花子は、自分が「とんでもない恥ずかしい想像」をしてしまったと、後悔していた

私は確かにヘアフェチだけど、大好きな太郎くんに、この長い髪を

「バッサリと丸坊主に」にされてしまいたい!なんて…

きっと、太郎くんは、そんな事考えた事もないだろうな

ううん、、私がこんな「とんでもない想像」をしている事を知ったら…

ダメ、やっぱり言えない、絶対に言えない…



そんな訳でこの太郎と花子、実は、二人とも「かなりのヘアフェチ」だったのです。

ただ、「かなり」の設定が、『かなり』ずれているのですが…

そしてこの二人、とても相性が良いようだけど、本当の意味での『相性』が良くなる日は

果たして来るのでしょうか?それは、誰にもわからないのです。

そう、勿論、本人達にも…(笑)

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