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おてんば娘と一寸郷士(ごうし)  作者: 宮羽つむり
おてんば娘と椿屋敷
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椿屋敷の門前にて

お昼を告げる鐘の音が町に鳴り響く中、お琴は椿屋敷の門前に立っていた。

勇み足で椿屋敷まで来たが、いざ目の前にするとつい緊張してしまう。

「よし、行こう!」

自分を奮い立たせて、お琴は門を叩いた。すると、

「来るのが早いです」

と卯木が言いながら門を開けた。お琴はまさか卯木が出てくるとは思っていなかったので、びっくりしすぎて一瞬動きを止めてしまった。

「何です?人を化物みたいに。理想はこのお昼の鐘が鳴り終えた後に門を叩くのがいいですね」

卯木が早速言ってきた。そういえば、手習いの先生が言われた時間より早く訪問するのは失礼だと言っていたなぁ……とお琴は思い出した。卯木は礼節をお琴に教えてくれたのだ。お琴は自分に対して教えるという行為をしてくれる人は、裏切ってはいけない人だと亡くなった祖父を通して刷り込まれているため、卯木に対しての嫌悪感が一気に軽減した。

「ご、ご指導ありがとうございます」

一礼をした。すると卯木は、

「まだこれからですよ」

とそっぽを向いて答えた。

「なかなか心根のある娘みたいですね」

卯木が小さな声で言ったが、お琴にははっきりとは聞こえなかった。自分に何か質問をしたのかもしれないと思い、

「あの……。聞こえなかったのですが、何か言いました?」

とお琴が尋ねると、

「ええ。鍛え甲斐のある娘だと言ったのです」

と卯木は澄ました顔で答えた。聞かなければよかった……と正直思ったが、

「ははは……。ありがとうございます……」

お琴は顔を引きつらせながら礼を言った。

「では、早速。屋敷を案内するので付いてきてください」

卯木はお琴を敷地内に入れると、足早に屋敷へ向かった。お琴は遅れないように、慌てて卯木の後をついて行った。

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