表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おてんば娘と一寸郷士(ごうし)  作者: 宮羽つむり
おてんば娘と椿屋敷
55/137

1本道で

お琴は道祖神が祀られている場所を目指して歩いている。1本道の先に立っている木を目指して、お琴が精いっぱい歩いていると、向こうから人影がこちらに向かってきていることに気がついた。段々お琴に近づいてくる人影。誰か分かった瞬間、お琴は嬉しくなり、顔がほころんだ。

「お琴」

「清隆様!」

お琴は清隆の元へ駆け寄った。庶民口調の小さな清隆は可愛いけれど、元の大きさに戻った清隆は綺麗だな……と、お琴は清隆をまじまじ見て思う。

「疲れていないか?小さいとはいえ、私を肩に乗せて歩いていたのだから、気を遣ったであろう」

清隆がお琴を心配そうに見つめる。

「主を肩に乗せて歩くのだから、使用人が気を遣うのは当然です。清隆様は使用人に気を遣わないで下さい。それに私は清隆様を肩に乗せての歩きは楽しかったですから、全然気にしないで下さい」

お琴は拳を作った両手を胸の所まで上げる。その様子を見た清隆はムッとした表情を見せ、下唇を突き出す。

「私は確かに主だが、それと同時にお琴と友である。友を気遣って何が悪いのだ?」

清隆の言葉を聞いたお琴は、またやってしまった……と反省した。シュンとなり、俯くお琴の頭の上に清隆は優しく手を置く。

「……私もお前の肩に乗っての旅は楽しかったが、小さいままでの旅よりも、元の大きさに戻った姿でお前と一緒に歩きたくて、ここに来たのだ。顔を上げて一緒に歩いてくれないか?」

清隆がお琴に頼む。お琴は驚いて、慌てて顔を上げる。まさか、そんな事を言われると思わなかったのだ。

「良かった。顔を上げてくれた」

清隆はほっとした表情を浮かべながら笑う。清隆のそんな表情を見たら、お琴は無意識の内に顔が赤くなってしまった。

「お琴の顔が赤い。笠を被っているとはいえ、やはり暑いだろう。早く一緒に木陰に行こう」

清隆はお琴の手を引いて歩き始めた。お琴はますます体内の熱が上がっていくのが分かる。清隆様にこの熱が伝わってしまったらどうしよう……とお琴は思いながら、清隆と一緒に右忠が待っている道祖神の所まで歩いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ