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おてんば娘と一寸郷士(ごうし)  作者: 宮羽つむり
おてんば娘と椿屋敷
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昼食の後は

お昼を食べ終えたお琴は、土間の隅にある水が張ったたらいの中に茶碗や箸を入れて洗っている。卯木は清隆の膳を下げに向かったところだ。自分を含めた使用人の食べた茶碗などを片付けるのが昼食時のお琴の役目。そして片付け終えたら、残りの部屋の拭き掃除を始める。残りの部屋はいつものように中の間、内玄関の間、仏間の3つの部屋。午前中の掃除の範囲より狭いのでお琴1人で充分だ。お琴は土間の入口にある、いつの間にか真成によって戻された掃除用の桶に水を入れ、雑巾を持って拭き掃除をしに内玄関へと向かった。


「今日は何の手習いをするのかな……」

お琴は内玄関の間を拭きながら、独り言を呟く。大分椿屋敷の仕事に慣れてきたということで、お琴は椿屋敷中の部屋の拭き掃除が終わると、空いた時間に卯木から花嫁修業と称した手習いを習っている。先先日は茶道をやった。お琴は茶道の時に使う茶器を祖父の家にいる時にさんざん名品かどうか調べていたので、茶を立てるより茶器の歴史や作者の想いを知ろうとする方が自分の性に合っていると改めて分かった。

「お琴。今日は全部の部屋の拭き掃除が終わったら、書道をやりますからね」

内玄関の間を通り過ぎようとした卯木に声を掛けられた。卯木は清隆が食べ終えた膳を土間へと運んでいる途中だ。

「は、はい。承知しました。拭き掃除が終わりましたら、すぐに用意致します。よろしくお願いします」

お琴は雑巾を持っていた両手を畳の上に置き、頭を下げた。文字の読み書きは祖父から教わっていたので、充分できるのだが、卯木に女文字と呼ばれる仮名が得意でないと見抜かれてしまったお琴は、女文字を少しずつ習っている。書道はお琴にとって、手習いの中では比較的得意なことなので、茶道をやるより気は重くない。今日の手習いの内容が分かったお琴は、急いで内玄関の間の拭き掃除の続きを始めた。

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