6.学校生活と検査結果
僕は日記は結局書くことにした。
どうであれ、日記なんだから。
日々のことを書くことは悪くないことだし、気分転換にもなる。
お父さんがそう言ってたような。
あと、仕官の道が開かれているだけあって、座学だけではなく、剣術等の講義も増えてきている。
ほとんど体を動かしていない僕にとって、これはかなりキツイ授業だった。
僕は毎日ボロボロになり、その後なんとか夕食を詰め込み、体を拭いて、そして寝る。
まだまだほとんど、その繰り返しの毎日だ。
週1日は休みのような日があるので、その時にこの日記を書いている。
「これじゃ日記じゃなくて週記だな」
そんなことを言いながら、ペンを執った。
『
お父さん、お母さん。
体を使う事が、こんなに大変だとは思ってなかったよ。
部活のシゴキが毎日あるような感じです。
でも、少しずつ慣れてきました。
学校生活は今までに比べると楽しいです。
学校に戻ったみたい。
友達らしい友達はまだなかなかできないけど、
いつもひとりだった時から比べれば
寮生活もわるくないです。
ほかに、こんな事もあったよ・・・
』
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洋子の検査結果、体自体になんの問題もなかった。
脳波もとり、CTも取り、血液もなんだか色々調べたわりには。
複合的とか総合的とか言ってたが、ただの点数稼ぎじゃないかと疑いたくなる。
「なにもすることがないなら退院させてもいいじゃないか」
独り言を病室でつぶやく。
自分が連れてきたのに、複雑な気分だった。
「翔太の体が一回り大きくなったわ。結構シゴキを受けてるみたいよ」
いつの日からか、きっと日記を読んでからか、ショウではなく、翔太と呼び始めている。
毎日見ているわけでなはく、どこかのある部分をまとめて、という風に見えるらしい。
日記を読んで、情報を補っているとのこと。
最近、病室に入るとまず1番にこれを聞く事にしている。
病院に送った罪悪感か、洋子が好む話題から始めた結果だった。
「ショウは、うまくやっているのかい」
俺は翔太とは呼べない。なにかを否定してしまう気がするから。
「あの子がこんなにうまく馴染めるなんて思ってなかったわ。この前なんて槍を振っていたわ。サマになってて、ちょっとカッコよかった」
部活の大会の話をしているように錯覚してしまう。
最近は、どこかに本当にいて、覗いているんじゃないかとさえ思えるほど、洋子の話は一貫しており、どこかに現実味があった。
本当に見ているんだろうか。
たまに洋子の幸せな顔を見ると、うらやましく思うことが増えてきている・・・。