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門前仲町小夜曲  作者: ろじかむ
門前仲町小夜曲
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門前仲町小夜曲/伏兵の気持ちはものすごくよくわかる

 今日は椿さんのお家で椿さんと過ごす初めての休日です。

 一緒にご飯食べて、ちょっとお散歩したりしてまたご飯食べて、そうです日曜洋画劇場とかあるので忘れないように一緒に見なくては!とか色々計画を練っていたんです。


 なのになぜ今私は、私の家の居間にいるのでしょう。

 しかも椿さんは正座してます。

「本当になんとお詫びしていいか……」

 しかもものすごく謝っています。


 さっき椿さんに好きな物を聞いたら「僕の一番好きなものはこれですよ」とか言われておでこにキスされてしまいました。

 キュンとして抱き着いたら椿さんぎゅって抱きしめ返してくれて、こういうの家にいる間全然してくれなかったのでうれしくて、ちょっと恥ずかしかったのですが椿さんのほっぺたにキスをしたんです。

 そういえば私、自分からそういうのするの初めてでした。

 などと思っていたら椿さんがふつうにキスしてきてくれて、そういうのがお見舞いに通っていたときぶりだったのでひどくどきどきしてしまいました。

 なんだか物足りなくて私からもキスしてみたんです。

 椿さんのほうが背が高いのでちょっと大変でした。


 椿さんはすごくびっくりした顔をした後「小春さんにはかなわないなあ」と言って更に何度もキスをですね……えへへ。

「椿さん大好きです」

「僕のほうがもっと好きです」

「絶対そんな事ないです」

「そういえば僕、小春さんの何処が好きかちゃんと言ってなかったですね」

みたいなやりとりも、あ、思い返すと恥ずかしい。


 そしたら電話が鳴ったんです。


 まだお引越しの事は人に……人じゃないんですけど、そう、言っていないそうなので椿さんちにかかってくる電話と言えばお店くらいなのです。

「忙しいんですかねー」などと言いながら二人で手をつなぎながら部屋に入って、椿さんが受話器をとって「すみません、お待たせしました」と言った後固まっちゃってですね。

 電話を切った後「小春さん、おうちにケーキがあるみたいですからお、お邪魔しましょうか」と言いながら椿さん、顔面蒼白なんです。


 まさかと思って速足でベランダに出て、下を覗き込むと道路はさんで向かいの家が平屋建て、その奥が2階建ての家なのでそこの2階だけ見えるのですがそこの、すりガラスの窓が開いています。


 そうです。そこは私の家なんです。


 今までの先生のお邪魔虫具合を思い返して今回もなにかされるに違いないと思って、昨日お昼頃先生に電話して「今度邪魔したら教科書の先生の写真に落書きしますからね」とくぎを刺しておいたんです。このあいだふと思い当って、椿さんに聞いたら「おそらくそうですよ。よくわかりましたね。あんなんなのに」と教えてもらったので先生が誰だか解ったんですが、その名前は先生の前では決して口にしてはいけないのだそうです。

 先生は「イヤだな小春ちゃん、あれは絵だよ。実物のほうが男前でしょ?」とか何とか言いながら絶対に来ないと約束してもらったので一安心だったのですが、なんということでしょう。


 敵は、身内に、ありって本当なんですね…!


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