幻燈廻すは撫子の指先/同じ夢がみれたらいいのに
「きゅーん」
という椿さんの声で目が覚めました。常夜灯でぼんやりと部屋が見渡せる6畳の和室。
いけない。安心したせいで私までうたた寝を。
「ごめんなさい。私……」
椿さんは差し出した私の手に顔をすりつけてくれます。そのまま私の服の袖を噛んで引っ張り出しました。どうしたのでしょう。
私を見上げてお布団に歩いて行って、片方の前足でとんとんと枕をたたきます。
もしかして。
「私、そこで寝ていいんですか?」
椿さんはこくこくと頷きます。
ええと……でも私椿さんのお世話を……でもちょっと眠いは眠いんです。
いいんでしょうか。
そろりとお布団に入ると椿さんも一緒にお布団に入ってきてくれます。
私から離れて丸まって眠る椿さん。
もしかして、寂しかったんですか?
私、役に立ってますか?
そうだといいのに。
お布団からは人の時の椿さんのにおいがして、なんだかとってもほっとします。
※※※※※
起きたら小春さんが上掛けも何もなしに畳の上に寝ていて、風邪というものをひかせてもいけないので布団に誘導して、僕も入らないと遠慮して寝ないだろうからと隣に入ってみました。
お疲れだったのか小春さんはまたすぐ眠ってしまいました。
つやつやとした黒髪にきらきら輝く瞳。
頬はばら色。
柔らかそうな薄紅のくちびる。
天使がいるなら、こんな感じなのでしょうか。
神様も妖狐もいるんですからもしかして、天使とか悪魔もいるんですかね。
謎です。
きみの寝顔をもっと見ていたいのに、瞼が重くてそれも出来そうにありません。