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門前仲町小夜曲  作者: ろじかむ
門前仲町小夜曲
22/155

五回目のゆさぶり/王道コースですね

 私は水族館が大好きです。どこがと言われてもパッとは答えられないんですが。

 魚そのものに、説明文にと見どころが沢山あります。


 クラスの子が「住んでいた所から無理やり連れて来られて可哀想!」と怒っていたのを、椿さんを誘ってから思い出して、もしかしてそういうタイプだったらどうしようかとハラハラしていたのですが

「こんなに(むな)(びれ)が薄いのに激しく動かして、千切れたりしないんですかね」

 と、熱帯魚コーナーで真剣に観察しているのを見るところ、大丈夫だったようです。

「私は行進の時、手と足がわかんなくなっちゃうので、魚の、えらと口を動かしながら泳げる所を尊敬してるんですよ」

「行進とはなんでしょう」

 なんと椿さんは行進を知りませんでした。そうですよね。狐さんがやったらニュースになっちゃいます。

言葉で行進をうまく説明できなかったので、その場でやったら笑われました。


 恥ずかしかったのですが、あんなにおかしそうな椿さんを見ることが出来たのは初めてだったのでうれしかったです。


 もっと笑ってる顔が見たいです。椿さん。


※※※※※


フェアリーペンギンって、小さいころの小春さんに似ています。

 きょろきょろして、ああでもあんなにやんちゃではなかったですね。

 思えば小春さんも随分大きくなったものです。


 前はひょいと抱え上げられたのに今はむりですから、違う持ち方に――――いや、考えるのやめましょう。いけません。


 前にサンシャインの水族館に行ったとき、小手毬ちゃんは「おいしそう」連発でしたが、人によってこんなに感想が違うものなんですね。

 たしかにあの時蟹とか太刀魚はぐっときました。


 それにしてもさっきの鈍くさい行進可愛かったです。小春さん。

「あ、あそこ親子ですね」

 指差す先には仲睦まじいあれは……フンボルトペンギンの親子ですね。それを見て小春さんは、無邪気に笑っています。

 思うところがあるでしょうに、そうして笑っていられる強さを僕はとても尊敬しています。本当に、大人になったんですね。


 さて、なかなか有意義な時間でした。

 あ、ご飯食べるところあるんですね。メニュー見て微妙だったら……

「椿さん、あの」

 小春さんは険しい顔をしています。具合でも悪いのでしょうか。

「はい」

「もしよかったら、お弁当を作って来たのですが」

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