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門前仲町小夜曲  作者: ろじかむ
門前仲町小夜曲
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五回目のゆさぶり/待ち合わせからマンネリ打破モードで

 椿さんと会うときは、いつも大手町駅の改札まで椿さんが迎えに来てくれます。

 そのまま日比谷まで散歩して、映画を見ながらご飯を食べたり、ご飯を食べてから映画を見たりまちまちで、時間があったらお茶しながら映画の感想をお話したりして、また大手町の改札まで送ってくれてさよなら、がいつものコースです。


 椿さんは映画の感想とか、最近読んだ本とかそういう事はお話してくれますが、自分の事は話してはくれません。

 私は椿さんのこともっと知りたいのです。


 小手毬さんがお友達だというのなら、あれくらい仲良くなりたいのです。

 やっぱり妖狐のお友達と人間のお友達は違うのでしょうか。

「小春さん」

 あ。ぼうっとしてました。

「こんにちは。椿さん」

 待ち合わせ時刻ぴったりにやってきた椿さんは、今日も変わらず優しく笑っています。

「ええ、こんにちは。行きましょうか。あ、切符買いました?」

「オレンジカード持ってます」

「僕もです」


 二人で電車に乗るのは初めてです。

 改札を抜けて、地下に降りるエスカレーターで椿さんが前に。

 耳とか、首とか、身長差のせいでいつも見えない所が見えるのが不思議。

「ちょっと日焼けました?」

「はい。家族で箱根とか、友達とプールとか行きました」

「椿さんはお盆、どうしてたんですか?」

「部屋の掃除とか、溜まってた本を読んだりとか色々です」


 そうですね。色々ですね。


 いつも色々でごまかされてしまいます。


 京葉線は東都始発なので一本見逃せば座れるのがいいですね。

 椿さんは端っこから一つ抜かした所に先に座ります。

 私端っこに座っていいのでしょうか。

「…………」


 映画の座席よりも近いので、どきどきします。椿さんは普通そうです。


※※※※※


電車の隣同士は、映画館と違って肘置きがないので近いです。

 そしてこれなんていうんでしょう。

 小春さんは袖のないワンピースを着ているので、うっかり触れてしまわないように気を付けないと。


 京葉線は東京駅発車後しばらくは地下なので、向かいのガラスに僕らの姿がうつっています。

 なんだか恋人同士のようです。

 電車の中もカップル多いですし。

 そうですよね。2つ先、国内有数のデートスポットですもんね。

 一回店長さんと先生と神様達に連れられて行きましたがあそこは確かにすごいです。

 女の人がみんな楽しそうでした。


 ……小春さんも好きなんですかね……。


 いや友達と二人では行かないです。ない。


 お店がお休みな所為で、会うのは久し振りです。何話していいかわからないです。

 ああ、間が持たない。


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