【第12話】もう意味も分からなかった。
「た……倒しきった…………」
たった一戦にここまで労力を使うのも珍しい。
狩りゲーでもここまでは精神力使わんぞ…………
フィーン____
軽快な効果音が、フィールド上に窓枠が表示されたことを辺りに知らせる…………たぶんリザルト画面だ。
中央に表示されたその窓に駆け寄る二人。
【RESULT】
【Monster】
Bpigfang:32
Total:32
【Zenie】
あいーん:240
Nom:240
Total:480
【Experience】
あいーん:16
Nom:16
Total:32
「じ、じゅうろく!? こんだけ倒して、経験値たったの十六!?」
一匹あたり1の経験値という計算だが……、相当の時間を掛けた割には少なすぎる。
慌ててメニューを開き、ステータスの確認……
【レベル】【3】
さん……3……
頭の中で、確認するように何度も繰り返す。低くはない、低くはない……。
半ば言い聞かせるような気持ちで、内心呟く。
他のゲームで序盤の一戦を終えた後にレベルが2つも上がるなんて結構な優遇だし、素直に喜べることなのかも知れないが……
【次のレベルに上がるための経験値】【5】
32匹分の経験値を二人で山分けしてもこの程度……。
しかも、残り必要な経験値を表すゲージが既に半分を超えているのに、まだ5も必要とは……。
つまりは3レベから4レベに上がるのに必要な経験値量は10以上だったってことだ。
1レベから2レベに上がるのに必要な値が3だったのだから、2つ上がっただけで約3倍……。必要経験値の増えかたが普通じゃない。
……元々必要経験値は低めではあったが、その分跳ね上がった時のインパクトも大きいというわけか。
くそ……
「お金も……思った以上に少ないですね」
彼女の意見にコクコク____と頷く。
まとまっているから分かりづらいが、一匹あたりたった15ゼニーだ。
消費される量を考えると少すぎる。
「これじゃステータス上げにも何時間かかるか……」
力なく呟くノム。
どうする……さっさとジョブが欲しい。クエストを進めなきゃとてもじゃないが金が足りない。
……だがこの分では、ノムさんの言う通りステータス上げにも相当な時間が…………
最悪パーティー解消をして……ソロプレイに勤しむしかないのかもしれないが、そんなことをしたら俺はモンスターを倒すことすら出来なくなる。
つまり、ここでもしノムさんが俺を見捨てたら…………アウトだ、瞬間的に詰む。
しかもその可能性は低くない。
彼女の印象的に、流石に高いとは言いたくないし……仮に高かったとしてもそうは思いたくないものだが、ソロプレイに徹した方がこれは効率が良さそうだ。
切り捨てられないことを祈りつつも、かなり不安な気持ちで彼女を見つめる…………。
すると。
「え……?」
唐突にノムさんが、自分のステータスウインドウを見て(といっても俺からその窓は見えない仕様なので、単に俺からはステータスウインドウを見ているように見えた、だけなのだが)、複雑な表情のまま固まっている。
「…………ノムさん?」
____一体どうしたんだ?
「ステータスが……」
「ステータス?」
確かに必要経験値が1レベの時の何倍にもなってたのはあれだったけれど…………。
改めて自分のものを見る。
やはり酷い。どう考えても鬼畜すぎんだろ、このゲーム。
「こ、攻撃力が……」
? 攻撃力?
前述の通り画面が小さめなので、攻撃力が表示されている所までスクロールして下げる…………
【攻撃力】【13】
「っ!?」
じゅうさん! い、1レベの時点で3だぞ!?
ぼ、防御力は!?
【防御力】【7】
なな……なな。2しか上がってない。
あれ、おかしいな……?
改めて攻撃力を見る。
【攻撃力】【13】
じゅうさん……10もあがったってことだ。
たった2レベ上がっただけで。
こ、これは驚くわけだ。
______たぶん……攻撃力のほうが徐々に高くなっていくゲームなのだろう。
防御力は、……どちらかというと装備に依存する……とか。
それにしたって上がり方に差が出すぎだけれど。
頭の中を整理し、ノムさんの方を向く……
きっとこういうシステムなんじゃないか、と、説明しようとした……その時。
彼女はボソリと呟いた。
「攻撃力が三十九……」
「えっ……?」
「三十九も上がってます……、防御力は四十以上……」
「!?」
39と40って…………俺の10倍以上……跳ね上がってる……?
「そ、それ、本当に…………?」
困惑した顔つきで事の真偽を確かめる。
「う、嘘ついてどうするんですか!」
確かに……でも、それじゃどうしてそんなに……
その後数分間は、もう何もいなくなった戦闘フィールドの中、二人で顔を見合わせ留まっていた。
……もう意味も分からなかった。
だがその時、俺が一番気にしていたのは…………
必要経験値の倍加や、攻撃力の異常上昇のこと、ノムさんの圧倒的ステータスなどではなく…………
俺とノムさんの、扱いの差だった______。
【次回の投稿は6月25日18~20時を予定しています。読んでくださった方々、ありがとうございました】




