私
ええーっと、魔王様って、あの、ファンタジー小説に出てくる、魔王様?
きょとんとした表情で、私は彼を見た。
彼も私の視線に気づいたのだろうか、こちらを見た。
「えー…っと、魔王様、?なんです、か?」
良く分からないから聞いてみた。
「ああ。」
と返ってきた、。…み、短い…。
えーっと、よく分からないけど、偉い人って事でいいのかな?
うん、きっとそうだよね、なんかあの人たちも様付けで呼んでたし、私も魔王様ってよぼっかな。
とりあえず、抱き抱えられたままのこの状態をなんとかしないと。
「えと、有難う御座いました、。もうおろしてくださって大丈夫です、よ。」
そうやって言う。
相手はなんだかすごく残念そうな表情を浮かべている。
し、仕方ないじゃないか、!
抱きしめられたままって結構恥ずかしいんだぞ、!
他の人たちもいるし…!
そ、そんな目をしたって駄目な物はだめなんだから、!
無言の攻防戦を繰り返していれば、彼はやがてはあ、とため息をついておろしてくれた。
おお、やっと…。素直になってくれた、有難う!
「えー…、お取り込み中の所申し訳ありません、魔王様、この娘は…?」
眼鏡をかけた、緑色の髪をした男の人がそう問いかけた。
取り込み中じゃないぞ、安心していいから!
「拾ってきた。」
……うわぁー…、簡潔…。いや、間違いではないのだけど。
「そんな娘をどうするつもりですか?」
うわっ、そんなこと言われたら困る。
私は、どうすればいいのだろう?
「………………。」
ほら、魔王様も黙っちゃったじゃないか!
どうしよう、私は邪魔なのかな?
此処にいちゃ、だめなのかな?