居場所
優しそうな人で嬉しいが、私はこの後どうしよう。
少なくとも、私のいた世界じゃなさそうだ。
どうしたらいいのか分からないが、
少なくとも私を心配してくれる人が一人でもいてくれる事が嬉しかった。
「あの、ここってどこですか、?」
もう一度、先ほどの質問を繰り返した。
詳しく場所が分かればいいんだけど…。
彼は、無表情な顔のままそう言い切った。
「此処は、魔界の魔帝の私の城、魔城だ。」
「……………へっ?」
一瞬、頭がフリーズする。え、今何て言った?
「ま、魔界…?って、あの、物語に出てくる…?」
「ちゃんと人間界もある。お前は、そこの住人ではないのか?」
「は、はい、そう、ですけど…、たぶん、。」
「しかし、着ている服装が妙な物だ。何処から来た?」
「は、はい、日本からです、けど…。」
「ニホン?そんな土地は無かったと思うが…。」
「じゃ、じゃあやっぱりここは異世界…?」
どうしたらいいんだろう、私の知る場所じゃない…。
悩んでいる私に、彼は少ししてから口を開いた。
「行くあてがないのなら、私の城に来るがいい。」
「えっ…。」
「部屋等あまっている。人間一人増えたところで何もできないだろう。それに…、何故だか、お前は…、捨て置けない。」
……なんて優しい人だろう。知らない人にはついて言っちゃ駄目だと言われているが、この人にならばいい気がした。
抱きかかえられていた姿勢からおろされて、向き合うように立った。
身長がとても高くて、見上げないと視線が合わない。
首がちょっと痛かったけど、そんな事構わなかった。
すっと、手が差し伸べられた。
私は、ためらいながらも、その手をとった―――――――。