深夜のドライブで話した怖い体験談(実体験です)
私こと佐藤(仮名)と新入社員の鈴木さん(仮名)との運転中の会話です。
深夜に運転していると、怖い体験談を話すことってありませんか?
これはそんな日常のひとコマです。
佐藤さん(仮名)は夜間のトラック運転手。
今夜も深夜の空いている高速道路を法定速度で走っています。
ただいつもと違うのは、助手席に新入社員が乗っていることです。
今日は新人の鈴木さん(仮名)が、目的地までの道や仕事内容を覚えるため、佐藤さんに同行しているのです。
さて、トラックで道と仕事を教えると言っても、実際のところ高速道路を走行中は、只々目的のインターチェンジまでひたすら走るだけです。
当然ヒマです。
道中は他愛のない雑談をしていました。
「今日は目的地に朝到着して荷物降ろしたら、休憩所用に借りているアパートで夕方まで休憩だからね。しっかり睡眠取るんだよ。」
「わかりました!」
「休憩所と言えばさ、東北の休憩所で、以前こんな事があったんだよ。」
先輩の佐藤さんは、その夜、東北まで荷物を運びました。
仕事が終わった後は、ここでも同じように休憩所として借りている2DKのアパートで、こちらの場合は深夜まで休憩です。
睡眠をしっかり取り、出発時間まで夕食を食べながらのんびりテレビを観ていました。
20時頃でしょうか。
突然台所でガタン!と大きな音が。
佐藤さん以外、部屋には誰もいないので、とてもビックリしました。
「何事??」
急ぎ台所を見てみると、流し台の中に食器洗剤のボトルが転がっていました。
流し台の近くに立て掛けてあったはずの洗剤容器。
「なんで倒れたんだろ??」
疑問に思いながらも元の場所に立て掛けました。
でも何となく気になったので、しばらく洗剤容器を見ていると……
それは突然目の前で吹っ飛んでいきました。
まるで横から手で払い除けたかのように、それはもう見事に吹っ飛んでいきました。
「ははは……」
佐藤さん、引き攣った笑いを浮かべると、洗剤容器を再び元に戻して、まだ時間には早いのに帰り支度をしてアパートを出ました。
その後、暫くして何故かそのアパートは解約され、別のところに引越ししました。
「なんて事があったんだよ。あれは驚いたね〜。」
「目の前で起きると、さすがに驚きますね。僕の場合はですね……」
鈴木さんは介護の資格を持っていて、この職場に来る前は介護施設で働いていたそうです。
そこでは高齢で亡くなる方も少なく無く、夜勤の時に、誰もいないのに人の気配や声や足音がする事もしばしば。
あまり珍しい事ではないそうです。
それは静まり返る深夜の病棟。
昨日、体調が悪化した高齢の方が亡くなり、今は空室になったはずの病室から、突然鳴り響くナースコール。
病室に行ってみるも、やはりそこは誰もいない空室……
「それでですね、同じ夜勤をしている同僚に、おじいちゃんに呼ばれちゃったよ〜って話したんですよ。」
鈴木さんは笑いながら話しました。
「……いや、マジで怖い話だよ。」
佐藤さんはちっとも笑えません。
でもその話を聞いて佐藤さんは、もう30年近くも前に起きたことを思い出しました。
「そう言えば、昔こんな事があったな……」
その頃佐藤さんは、実家を離れ東京で独り暮らしをしていました。
自分の希望では無く転勤での東京暮らし。
都会に全く興味が無く、休みの日はしばしば実家に帰っていました。
地元に友人もいましたしね。
そして当然お盆の連休も実家に帰省していました。
当時はサーフィンをやっていたので、海に行ってた時間が長かったでしょうか。
でも最終日、東京に戻る前に祖父母の墓参りに行ってきました。
お盆ですからね。
そして、その晩の深夜に東京のマンションに戻りました。
当時住んでいたマンションは、見た目は立派なマンションだったのですが、私の部屋にはエアコンが付いていないと言う、今では信じられない部屋でした。
まぁ社宅だったので文句も言えなかったのですが。
ちなみに文句を言ったら、自分で買え!とあっさり言われました……。
まだ世間は夏休みの真っ最中。
当然、深夜と言えども暑いので、窓を全開にしてベッドに横たわり、薄めの布団を掛けました。
外からは車の音。
どこからか風鈴の音。
まだ、それ程眠くもなかったので、目を開けてボーッとしていました。
ふと気が付くと妙に静かです。
先程まで聞こえていた外の喧騒が聞こえません。
そして何故か身体がまったく動きません。
いや、眼球だけキョロキョロと動きます。
これが金縛りってやつ!?
はじめて経験する金縛りにとても驚きました。
しかし、事態はこれで終わりませんでした。
何者かに右足首を掴まれました。
次に左足首。
その、掴んでいる手のような感触のものが、ベッドの下から徐々に上にと這い上がってきます。
佐藤さんは金縛りで動けません。
声も出ません。
目を思いっきり下に向けても見えるのは暗闇だけです。
その何者かは、やがて腹の上に乗り、もう少しで胸のあたりまで登ってくる……ところで突然身体が動くようになりました。
勢いよく上体を起こし、周囲を確認するも何もいません。
いつの間にか外から聞こえる風鈴の音。
佐藤さんは暑いにも関わらず窓を閉め、布団を頭から被って朝になるのを待ちました。
「なんて事があったなぁ〜あれは怖かったね。霊感なんて無いと思っていたのにね〜」
佐藤さんは怖さよりも懐かしさを感じていました。
「でもこんな車の少ない深夜の高速道路でするような話じゃないですね。」
「まったくだよ。そろそろ出るインターだから仕事モードに移るよ。」
「りょーかいです!」
ふと雑談ばかりしていた事を思い出し、鈴木さんに聞きました。
「ところでちゃんと道覚えているよね?」
「……たぶん。」
鈴木さん、不安な事を言います。
「怖いこと言わないでくれよ。」
「ははは!大丈夫ですよ。不安なこと言うと佐藤さん髪の毛抜けちゃいますよね。」
「おい!怒るぞ!泣くぞ!」
高速道路を降りた深夜のトラックは、街へ向かって走り去っていきました。
お盆を前に、怖い思いをした体験談を書いてみました。
名前は仮ですが、まぁ実際に先日あった話をそのまま文章にしただけです(笑)
楽しめてもらえたら幸いです。




