47.王都テンヴァルディア
山を越え、街道を抜け、途中数度魔物の撃退を挟んで予定が遅れること三日。
「ん〜っ、着いた〜!!」
長い道のりを経て、私たちはルーガスト王国の王都テンヴァルディアへと到着した。
真っ白なお城を中心とした大きい街。
建物も高くて人もたくさん。まさに都会って感じ。
「ここまで長かったぁ。これで乗り心地の悪い馬車とはおさらばだぜ。おかえり私のプリケツ」
「一応王家が所有する馬車なのですが」
「終わった。私がもっと乗り心地のいいのを開発してやる。世界中のお尻は私が守る」
『思わぬやりたいことの発見じゃな』
馬車は大通りを城に向かって進んだ。
懐かしいなぁ。
イディオンではよくこの辺で遊んでたっけ。
「で? こっからどうするの?」
「ひとまずは王妃殿下に帰りを伝えねばな。それに伴い蝶羽、貴様も謁見してもらう」
堅苦しいの苦手なんだけど。
『おぬしの言い分はさておき、護衛の存在を明るみにする必要があるとは思えぬな。蝶羽が世間に名を轟かせる猛者ならば、周囲に威嚇の意味もあろうが』
「それ必要ですか?」
「謁見といっても公式の堅苦しいものではない。王妃殿下には先触れを出してある。まあ顔合わせのようなものだ。ただでさえ病床に臥せっておられることだからな」
なるほど。
それならいいか。
でも、待てよ?
「聞いてなかったんですけど、王位継承について王妃様はどの立場なんですか?」
「中庸……と、本来ならば言うべきなのだろう」
「違うってことは」
「曲がりなりにも御腹を痛め産んだ子どもたち。誰か一人に愛情を向けようなど出来るものか。同じく憎悪も。王妃殿下は聡明な方であらせられる。今は亡き先王陛下に代わり政務を執り行っていたほどだ。誰が王位に就くべきかは正しい選択を見据えている」
つまり第二王子を王位に据えるのは反対してるってことか。
「王妃様の具合は?」
「正直なところあまり芳しくありません」
リゼちゃんは渋い顔をした。
「今では日に一度、匙一杯の食事を口にするのがやっとなほど衰弱している」
『いつ事切れてもおかしくはないということか。蝶羽、おぬしの知る範囲で何とか出来ぬのか?』
スキルが稀少なこの世界だと魔法での回復も望み薄かな。
イディオンなら回復系のアイテムは色々あったけど、そういうのは可能な限り試してるはずだし。
私に回復系の魔法が使えたらよかったんだけど。
『肝心なところで使えぬやつよ』
何か言ったか私のスキル。
「せめて毒の種類だけでもわかれば手の施しようもあるかもしれぬのだが。王妃殿下に毒を盛った犯人すら捕まえられておらぬとは。不甲斐ないことこの上ない」
「卿の責任ではありません。どうか気を落とさないでください」
暗い陰を落として、リゼちゃんは膝の上でぎゅっと拳を握った。
「一応確認なんだけど、万が一のときは仲間内以外は斬っていいってことでいい?」
「ああ。都度、判断は任せる」
「了解」
めんどくさくなったら全員シバこう。
『蛮族かおぬしは』
お前も戦国の世では似たようなことしてたろって。
そうこうしてる内、馬車は城の門をくぐった。
「蝶羽さん、蜃気楼をかけますから着いてきてください」
「うい」
身体が光の魔力に包まれる。
自分からは変化はわからないけど、他の人に姿は見えなくなってるから不思議。
こーんな風にリゼちゃんの目の前で変顔しても、リゼちゃんのちっちぇえおっぱいガン見してもバレないってわけ。
「わかっていると思いますが、声は聞こえますし、実体が消えたわけではありませんから気を付けてくださいね」
「わかってるわかってる」
「あと魔法をかけた私にはあなたの姿がしっかり見えていますので」
「……すみまぁひん!!」
馬車の中でビンタの炸裂音が響いた。
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