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転生から始まる私と魔王の天下無双!燃えて死んだけど二人ならガチで最強です!  作者: 無色
斬騒天外編

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28.街外れの教会

 ジールに連れられて、街の外れの教会にやって来たけど。


「ボッロい」

『そういうのは思っても口にせぬものじゃ』


 限度がある。


「教会風の廃墟なんだけど。本当にここに住んでるの?」

「ああ。雨風は凌げる」

「じゃあいいか」


 外壁はボロボロ、窓は吹き抜け、扉に至っては片方が無い。

 庭も荒れ放題だし。

 辺りを見渡してると、教会の中から子どもたちが出てきた。

 

「ジール様帰ってきた!」

「キノンも一緒だ!」

「おかえりなさい!」


 多い……多いな。

 全部で十八人もいる。

 パッと見、キノンが一番歳上っぽい。


「お姉ちゃんだーれ?」

「ジール様の恋人?」

「ううん全然違うよ。全然」

「お姉ちゃんキレー」

「お姫様みたい」

「あっ、この子たち好きかも」

『移り気の早さよ』


 子どもって正直だよね。

 お姫様だってお姫様。

 たしかに私は見た目も性格もカンストすることを知らない超絶美少女だけど。


『戦乱の世を席巻するかの如き自己肯定感』


 子どもたちに囲まれてると、どこからかお腹の音が鳴った。


「ジール様おなかすいた」

「僕も」

「私も」

「ああ、そうだな。キノン、みんなを連れて裏の畑の芋を掘ってきてくれないか」

「うん、わかったよ。みんな行くぞ」


 キノンは子どもたちを連れて、教会の裏へと駆けていった。


「見ての通りだ。うちは貧しくてな。あれだけの人数の子どもを抱える余裕は無く、日々食事を切り詰めて生活している。なんとか工面はしているが、それでもギリギリだ。キノンも、あいつなりにこの状況を何とかしようとしたんだろう」

「だから刀を盗んで売ろうとしたって? こんなの盗んでも二束三文にしかなんないよ」

『こんなのと言うな。わしのじゃぞ』

「どんな理由があれ盗みは肯定しない。あいつのやったことはおれが代わりに詫びる。本当にすまない。どうかキノンのことは赦してやってくれないか。このとおりだ」


 イケメンに頭を下げられるの、なんかむず痒い。

 

「わかったよ。もういいってば。その代わりちょっと聞きたいことあるから、それだけ答えてもらうからね」

「聞きたいこと……?」

「ジール様! お芋掘ってきたよ!」

「みんなで食べよ!」


 子どもたちが戻ってきたことで話は中断されてしまった。


「お姉ちゃんも一緒に食べよ」


 土で顔を汚した女の子が、ニコっと芋を差し出す。

 自分は痩せ細って、お腹もすいてるはずなのに。


「ありがと。……ね、神父くん。教会ならお布施出せば祈ってくれるんでしょ?」

「あ、ああ」

「んじゃ、ほいっ」


 宝物庫からオーク肉どっさり。


「……!」

「すごーい! お肉だー!」

「お肉いっぱいだー!」

「こんだけあったら、燻製して一ヶ月はいけるでしょ」

「お前……」

「子どもたちがひもじい思いするのは良くないよね、ってことで。ほらみんな手伝ってー。今日はオーク肉でバーベキューだよー」

「はーい!」

「元気でよろしい。神父くんも、突っ立ってないで準備準備」

「ああ……」


 お肉お肉〜♡


『おぬしさっき腹いっぱい食ったじゃろ』


 これはおやつ!!


『そうか……』




「うりゃ」


 焚き木に着火オンファイアー。


「すごいお姉ちゃん!」

「魔法使いだ!」

「フフン」


 焚き木を石で囲んで、その上に平べったい石置いて、あったまったら肉をドーン。


「おー焼ける焼ける。んでこれを」

『おい待てわしの甲虫刀! まさかそれで肉を斬るつもりでは!』


 そのつもりなんだよなぁ。


「えいっ」

『ぬあぁぁぁ!!』


 大丈夫だってこれ新品だから。

 汚れてないし。

 

『今まさに肉の脂で汚れたじゃろ!!』


 あとで洗っとくって。


「いい感じの大きさに切ったら、塩と胡椒。ほら出来たよ子どもたち。熱いから火傷しないように食べるんだよ」

「わーい! お肉ー!」

「いただきまーす!」

「はふはふ、はちちっ!」

「おいしいー!」


 そうだろうそうだろう。

 オーク肉っておいしいよね。


「あんまり急いで食べると気持ち悪くなっちゃうから気を付けるんだよ。どうキノン、おいしい?」

「うん……おいしいよ」

「ニシシ、よかった。もっと食べな」


 泣きそうな顔して。

 気にしなくていいからお腹いっぱいになれコノヤロー。

  

「神父くんも食べなー」

「おれはいい。子どもたちに食べさせてやってくれ」


 うるせえ、って私は神父くんの顔に肉を近付けた。


「神父くんが食べなきゃ子どもたちも遠慮しちゃうの。いいから食べろってば」

「……いただきます。……はむ」

「おいしいっしょ」

「……ああ」


 しかしこの人、近くで見るとマジでイケメてるな。

 顔ちっちゃ、まつ毛なっが。

 世の中の女子が二度見で首の骨折るレベル。


「なんだ?」

「なんでもない。そういえば聞きたいことあったんだけど。私を襲ったときに使ったあれ、スキルでしょ?」

「ああ。エクストラスキル【纏魔】。自身の魔力(マナ)を身体や武器に纏わせる攻防一体のスキルだ」

「やっぱり」


 イディオンにおいて、【纏魔】はエクストラスキルの中でも、常時Tier1(環境トップ)に属する万能スキル。

 【纏魔】を習得してやっとスタートライン、みたいな風潮があったくらいだ。

 けど、私が気になったのはそっちじゃない。


「神父くんが使ってた剣術、あれってもしかしてルーガスト流?」

「……?! 何故、それを」

「あー、だよね?」


 懐かしい気がしたはずだ。

 一口に剣術、槍術スキルといっても、イディオンには剣や刀、槍、それぞれに幾つもの流派が存在して、またそれぞれにバックボーンがあった。

 ルーガスト流剣術の設定は……うん、忘れた。


「昔見たことあってさ。まさかこんなとこで見られるとは思ってなかった」

「……そうか」

「結構サマになってたよ」


 そりゃイディオンベースの異世界だもんね。

 流派もあるか。

 ん?

 ってことは……

 

蝶羽(あげは)、お前は何者だ?」

「ほぇ?」

「スキルを持っていて、ルーガスト流のことまで知っている。ただの剣士とは思えない」

「ただの旅人だよ。今はまだ、何者かになろうとしてる途中の」

「途中、か」

「そういう神父くんこそ。ただの神父ってわけじゃなさそうだけど? 帯剣してるし」


 あとガラ悪すぎな。


『おぬしが言えたことか』


 お黙り。


「おれも途中だ」

「なんの?」

「いろいろだ」

「いろいろね。了解」


 言及せず。

 根掘り葉掘り聞かないのがいい女。

 

『面倒なだけじゃろ』


 お黙り。

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