21.日常坐臥
「よっこい、しょい!」
鍬から腕に伝わる土の感覚。
濃い緑の匂い。
「ふいー。いいね、農作業!」
太陽の下、汗水垂らして働くのサイコー。
「おーい蝶羽ちゃん。そろそろ休憩にしようや」
「はーい」
私たちは今、セクアンダとサーディアの間にある、山あいの小さな村を訪れている。
空腹で行き倒れていたところを、村長のノマジカさんに拾われて、そのお礼に畑の手伝いをしてるってわけ。
『兵糧は充分用意しておったというのに。おぬしは燃費が悪すぎじゃ』
「食べることは生きることと見つけたりだろ」
けど、マジメに解体とか覚えないとな。
木の実だけじゃお腹いっぱいにならないし。
『おぬしは得手不得手が極端なんじゃ』
「うっさいなぁ」
「ご苦労さん。疲れたろう。大したものは無いが」
「わーい! 採りたての野菜とかご馳走〜! いただきます!」
んー、このきゅうりハリがすんごい。
瑞々しい青さが身体に沁みる。
「うんまぁ。しかも冷たぁい」
「ハッハッハ、そうだろう。沢でしっかり冷やした野菜だからな」
「ガチでいくらでも食べられる。うっわトマトおいっし!」
「蝶羽ちゃんが手伝ってくれたから、畑仕事が早く終わったよ」
「こっちこそ、はむはむ、助けてもらっちゃって。パクパク、にんじん甘い!」
『がっつきすぎじゃ』
おいしいんだもん。
「いい食べっぷりだなぁ。もっと食べるか?」
「食べる!」
「おぉいノマジカさん。うちの雌鳥が玉子産んだんだ。拾ってきた娘さんに食べさせてやってくれや」
「魚釣ってきたよ。塩焼きにするとうまいぞ」
「はいはい今パンが焼けましたからね。みんなで食べましょ」
あー全部おいしい〜。
幸せ〜。
おじいちゃんとおばあちゃんが孫に餌付けしてるみたいなもんだけど。
『孫というより犬ころじゃろ』
ワンワン!
ガルルルル!
ご飯おいしいし、みんな優しいし、マジで一生ここ住める。
『平々凡々。日常坐臥。穏やかな日々とはそれだけで至宝よの』
「天下泰平、世はまさに日本晴れぃ。みたいな?」
『異世界で日本晴れとは珍妙じゃな』
「じゃあ、異世界晴れ」
『さもありなん』
それにしても、そよぐ風の心地良いこと。
心の洗濯ってやつかな。
「私ずっとゲームしてたから、こういうの新鮮で今めっちゃリフレッシュしてる」
『尾張の国はここに負けず劣らずの田舎であったぞ。よく野山を駆け回っては、柿やあけびを食ろうたわ』
「あけびって何?」
『あけびも知らぬのか。これだから昨今の若者は』
「何マウント取ってんだ。信長だってスターフルーツとかドラゴンフルーツとか食べたことないくせに」
『スター? ドラゴン?』
「あ、知識に検索かけてネタバレ禁止ね」
『む……奇妙な名じゃが、美味いのか?』
「どうだったかなぁ〜」
ニヤニヤ。
『くっ、小癪な……! 構わぬ! いずれスターフルーツもドラゴンフルーツも食ろうてやるわ!』
「ニッシッシ。ついでにドリアンにもかぶりついてやれ」
いい反応期待してるよ。
「ん?」
なんかみんなが集まってる。
『何かあったようじゃな』
どうしたんだろ。
話聞いてみよ。
「どうかしたんですか?」
「ああ、山菜を取りに山に入ったガジャの奴がな」
「本当に見たんだ! ありゃ間違いなくゴブリンだった!」
「ゴブリン?」
「この辺りには魔物なんて滅多に見ないからなぁ」
ゴブリンは魔物の中でも数が多い。
ある日突然生息地を広げることは不思議じゃない。
けど、それには何かしらの原因があるはず。
「ギルドに依頼を出すか」
ギルド伝いだと時間がかかる。
その間にゴブリンが村を襲わないとも限らない。
「ノマジカさん、私が見てきます」
「蝶羽ちゃんが?」
「これでもちょっとは腕に自信あるんですよ、私。任せてください」
私はドンと胸を叩いた。
どうかダラダラとお付き合いください!
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《プロフィール》
名前:斎藤蝶羽
種族:人間
性別:女性
職業:旅人
称号:無し
エクストラスキル
【炎熱操作】
ユニークスキル
【第六天魔王】
権能:魔王の眼……鑑定、解析、視野拡張、俯瞰、望遠、夜目、動体視力、真贋看破
魔王の刀……剣術の極意、切断力上昇、武器耐久
魔王の肉体……武芸百般、騎馬、身体能力強化、五感強化、気配察知、自然治癒力上昇、状態異常耐性、環境耐性
魔王の宝物庫……容量無限、内容物不変
魔王の理……思念共有、纏魔、魔力制御、威圧、演算処理、能力吸収
魔王の寵愛……魅了、献上、床上手、絶倫




