幕間:OKEHAZAMA BLUE
「雨だねぇ」
『雨じゃな』
今は誰もいない廃村の空き家。
私たちは雨宿りを兼ねて旅の小休止中だ。
「いつまで降るんだろ」
『さてな。空模様は移り気なものよ』
ぼーっと空を眺めるだけ。
しとしと、ザーザー、こんなに雨の音に耳を傾けたのは初めてかもしれない。
「ひゃっ?!」
『どうした?』
「雨漏りが……」
このまま雨が振り続けたら、この空き家なんて潰れちゃうんじゃないか。
それまでには止んでほしいところだ。
「なんかおもろい話してよ」
『なんじゃいきなり』
「だーって暇なんだもん」
『刀でも磨いておれ』
「あ、信長と雨っていったらあれじゃん。あれ、桶狭間」
『ああ、そんなこともあったのう。しかし聞いて楽しいものか? あの時代の戦など勝つか負けるかの似たりよったりの話になるぞ?』
「当人の口から歴史上の出来事聞けるなんて、どれだけお金払っても出来ないんだから」
『そんなものかのう。よかろう。雨が上がるまでの間、わしの武勇を語ってやるとしよう』
「よっよっ信長っ」
『まずあの戦いは何故起こったのか。それはな』
しとしと、ザーザー。
雨は止まず、けれど退屈はせず。
『そのとき秀吉が言いおったんじゃ』
「アッハハハハ。それマ? 盛ってない?」
『いやぁ事実じゃ』
長い旅の幕間に、私は信長の話に気に入った。




