16.衝撃的な再会
「おおおおお〜!♡」
『おおおおお〜!♡』
「どうだい?」
「さいっこ〜!♡」
狼系の魔物の毛皮と、追憶の武将の甲冑を元に作られたキャラメル色のロングコート、狼の外套。
白のワンピースにめっちゃ映えてきゃわ〜。
そして追憶の武将の折れた刀を鍛え直した新しい刀、緋刀・焔丸。
『刀としてのしなやかさが段違いじゃな! それに燃え盛る炎のような赤みがかった刃紋! 実休光忠を思わせる面構え! じつに気に入った! 見事じゃ!』
信長もご機嫌みたい。
「こんなにいいもの作ってもらって、本当にありがとうございますナヴィアさん」
「なに、いいってことさ。私らからのほんの気持ちだよ」
「お姉ちゃんすっごく似合ってるよ」
「ニシシ、ありがとう」
コートの着心地は抜群。
軽くて肌触りもいいし言う事無し。
てかシンプルに私が似合いすぎてる節ある。
「旅人なんだって? しばらくはこの街にいるのかい?」
「風の吹くまま、気の向くままって感じですね。西も東も決めてないです。なんせやりたいことが多すぎて」
「ハハハ、若いってのはいいね。何かあればいつでも訪ねておいで」
「はいっ」
店を出る間際、メルロは小さく手招きして私をしゃがませた。
「どうしたの?」
すると、柔らかい唇をほっぺに当ててきた。
「悪い人を捕まえてくれたお礼。また来てね、正義のヒーローのお姉ちゃん」
おっふ。
こーれは……お姉さんキュンキュンしちゃうなぁ。
『わはは、なかなかやり手じゃったな』
あー顔あっちぃ。
子どもに照れさせられるとは。
おねロリに目覚めそう。
「あれは将来モテるだろうな」
『さもありなん。ところで、これからどうする? 街の封鎖は解けたのじゃから、次の街を目指すのか?』
「そうだなぁ。この辺りで魔物を倒してお金を稼いでおこうと思ったんだけど」
周りの目がなぁ。
「おい、あいつだろ?」
「ああそうだよ。噂の女剣士」
「衛兵十人を睨んだだけで気絶させたって、あの?」
「おれは三十人って聞いたぞ?」
「一人二役の大道芸人の姉ちゃんだろ?」
「鍛冶屋を襲ったって話じゃなかったか?」
事件解決に一役買ったはいいものの、噂が噂を呼んで、私はすっかり有名になってしまっていた。
だいぶ尾ひれがついてるし。
居心地が悪いったらありゃしない。
『気にするな。悪名もまた名声じゃ』
「歴史上の偉人が言うと含蓄ヤバい」
まあでも装備を整えるって当初の目的は達成したしね。
のんびり次の街を目指すのも悪くない
「世界は広いし、立ち止まってるのはもったいなく思っちゃうよね」
懐に余裕があるわけじゃないけど、貧乏旅も味は味。
ってことで、さらばセクアンダ。
いつの日かまた、風が私を呼んだときに。
なんてキザったらしく踵を返したら、
「きゃっ?!」
向こうから走ってきたらしい人とぶつかった。
「いたた……ちょっとどこ見てるのよ!」
「そっちがぶつかって……って、あれ?」
見たことあるフード姿。
それに腰に差した片手剣。
この子ってたしか……
「何ジロジロ見て……って、あ、あなた……」
「あーやっぱりそうだ! 馬車でりんごをくれた人!」
『ああ、そんなこともあったな』
忘れんな。
飢え死にしそうだった私を生き延びさせたのは、間違いなくあのりんご。
そしてこの人だぞ。
「あの時はありがとう。おかげで何とか今日まで生きてこられたよ」
女の子はバッとフードを深く被り視線を切った。
ええ……なんで?
私と話すの嫌?
馬車の中でも無視されたし。
「私、蝶羽。あなたは?」
「わ、私、は……」
おっ、反応してくれた。
名前を教えてくれるのかと思いきや、女の子は顔を上げて私に言った。
「お願い助けて! 追われてるの!」
「追われてる? 私の命の恩人に手を出そうとするなんて、どこのどいつだ許せねぇ!」
女の子が来た方向から走ってきた三人の男たち。
あいつらかこの子を狙ってんのは。
「もう逃げ回るのはおやめください」
「さあ、帰りましょう」
「いやよ!」
「わがままを言わないでください」
……うーん、悪漢に追いかけられてるっていうより、いいとこ出身の家出娘を連れ戻しに来たって感じだけど。
気のせいかな。
「旦那様も奥様も心配しておられます。お嬢様、どうか」
気のせいじゃなかったわ。
家出娘を連れ戻しに来てるわこれ。
「絶対にいや! 帰ったら結婚させられるんでしょ! 冗談じゃないわ!」
「旦那様方がお決めになられたことです」
「自分の結婚相手くらい自分で決めるわ! ううん……もう婚約者だっているんだから!」
女の子は私の腕に抱きついた。
「この人よ! この人が私の婚約者! 私、この人と結婚するから!!」
「ぅえええええええ?!!」
私、結婚すんの?!!
マ?!!
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