12.初めて
ときに、私たちが何故セクアンダを目指しているのか。
それは素材加工のためである。
セクアンダ以降の街には、入手した魔物の素材を元に、武器や装備を製作してくれる鍛冶屋が設置されている。
ステータス補正も無いのに装備が重要かって?
オーダーメイドでオシャレ出来るのが重要じゃないとでも?
やっぱりいろんな格好したいじゃん。
女の子ですから。
「ついたーセクアンダ」
『前の街と変わり映えせぬのう』
「同じ国内だしね。まだまだ王都から離れた田舎だし」
その分のどかで治安は良いよ。
『さっき盗賊に襲われたじゃろ』
「そういうこともある」
とりあえずご飯〜。
それから宿取って、街を見て回ろうっと。
『魔物の売却と、日用品の買い足しを忘れるなよ』
「あーい」
私たちが旅をする上で、やりたいことは何でもやる、が絶対だ。
けど、その中にはやらなければならないことが一部含まれる。
旅を安全に楽しむために強くなること。
これは主にスキルの習得や、装備を整えるという意味。
そしてもう一つ、これが必須。
この世界に信長という存在を顕現させること。
身体が無いんじゃあ、楽しもうったって楽しめない。
おいしいものも食べられないし、太陽のあたたかさも、吹き抜ける風の心地よさも、今の信長には伝わらないのだ。
『この状態もわりかし快適じゃがな』
そうは言うけど、やっぱり楽しい思いは共有したい。
ただ、スキルの実体化、もしくは擬人化なんてイディオンでも聞いたことがないし、確実な手段があるのかもわからない。
何かそれらしい情報があるといいんだけど、そもそもスキル自体がレアな存在っぽいし。
『まあ期待せずに待つとしよう』
「そう悲観してんなよ。信長と一緒にスイーツ三昧。これは、私のやりたいことだ。絶対叶えるに決まってんだろ」
『……はっ、共になら酒にしろ』
「お酒ね。いいねそれ。私飲んだことないし」
初めて飲むお酒が信長と。
これはなかなか、人が聞いたら羨ましがる文句じゃないかな。
「楽しみがいっぱいって、なんか幸せな気分だね」
『そうじゃな』
えっと、食料、着替え、タオル……よしこれで買い足しオッケー。
そろそろ素材加工のお店に行こうっと。
って、どんな装備が出来るのかな〜ってワクワクしてただけなのに。
「貴様を強盗の現行犯で拘束する!!」
なんでこんなことに?




