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【男性専用】居酒屋とか職場に現れるヤツらの話

作者: 佐倉こぐま


Y鍬と私は意見が食い違っていた。Y鍬はその後に見るべきだと話しており、私はその前に見ておくべきだと主張した。


 


 


彼らは一体なんの議論をしていたのか。まずは保険に対する話をしなければならない。


 


 


私は新卒入社時に契約していた大手メーカーがグループ単位で運用するグループ保険に加入していた。これは転職してからもOB向けのプランに切り替えて、保険を継続することができる。


 


 


変更の手続きの際に保険回りを見直しできる機会だと考えた私は、人生で初めて保険と向き合う事とした。何しろ健康体である私の肉体は保険に対する信用を失っていた。


 


 


まず大前提として、保険は万が一に備えて安心を用意しておくものであり、損得の外側に位置する概念だと伝えておきたい。


 


 


そのため、保険料が勿体なくて嫌だ。という発想は適切ではなく、保険料が勿体ない状態は望ましい形なのだ。そもそもの考え方が誤っている。


 


 


しかしながら、実際に保険は私たちの収入から金を吸い取り続けてくる。安心を得るために契約した保険によって貯金が増えない、そのせいで生活に不安が増えてしまうのだ。金額の大きい貯蓄型保険なら尚更だ。


 


 


これを機に保険を見直し、たどり着いた結論がノーガード戦法だ。裸がいっちゃんかっこいい。裸で社会と戦うのがいっちゃんかっこいい。


 


 


この国では国民皆保険というカードが揃っており、月に数万円の保険料を取られている代わりに十分な保証が行われているのだ。にも関わらずこの数万円の保険料に、数千円の掛け捨て保険を上書きしていた訳だ。あまり効果が良いとは思えない。


 


 


これについては行政から保険会社に対し「おどれら自分の保険の説明の前に、国民が全員受けることの出来る国の保険の説明をせんかい」と通達が出たほどだ。


 


 


無論、保険は効果とかメリットデメリットで決める物では無いことは承知している。あれは万が一に備えているのだ。ただ、万に9999は安心で終わるという話をしている。


 


 



私の保険に対するスタンスはY鍬との衝突に関係がない、これは私が保険に対して少し消極的だということを伝える儀式に他ならない。


 


 


諸君も見たことがあるのではないだろうか。新入社員が配属される、そのタイミングで保険の話をしてくれるお姉さんたちが現れるのを。


 


 


彼女達の巧みな話術により保険を契約することとなった若者たちは、そのなけなしの給料から毎月保険料を吸い取られるのだ。


 


 


我々は彼女達を『サキュバス』と呼んでいる。


 


 


保険という商品を綺麗なお姉さんという土台に乗せて、うっかり契約した若者から生命力を奪う。これをサキュバスの所業と呼ばずなんと呼ぶのか。


 


 


これは決して彼女達の仕事を批判するものでも、下に見るものでもない。


 


 


巧みなトークテクニック、保険の契約が無さそうな新入社員というターゲティング、そしてそれを支える美貌、つまりはリスペクトする要素しかない。


 


 


それに、突然サキュバスが隣に立っていて、嫌な男など存在しない。サキュバスはいつだって隣に立っていていいんだ。むしろいつも隣にいて欲しい。


 


 


そんな話をしているとY鍬は、サキュバスを見た日は保険営業物のAVを使うのが良いと言い始めた。


 


 


なるほど、これはなかなか。Y鍬の慧眼に感心した。さすが生活の全てを射〇に繋げる男だ。質の高い〇精にこだわれば、彼ほどその熱量がある男はいない。Y鍬は〇〇管理の達人だった。 




 


 


少し待って欲しい。サキュバスが現れるのは新入社員が配属される時期、その前後だと例年の経験から分かっている。


 


 


何しろオフィスの中を普通に徘徊しているのだ、会社の偉い人の許可を貰っており、加えて配属のタイミングを聞いているはずだ。


 


 


これを逆手に取り、新入社員配属の前日から保険物のAVを見ることをY鍬に提唱した。


 


 


新入社員が配属される時期になると保険物のAVを見始める先輩達。いくらロジカルシンキング研修を終えた新入社員達でも、真相にたどり着くことは困難だ。


 


 



意見が食い違ったのはこのあたりだ。


 


 


 


Y鍬は昼間のサキュバスを見て、その夜、質の高い〇精繋げる。つまりは”〇〇”に重きを置いたスタンスだ。


 


 


対して私は予め保険物のAVを見ておき、当日の”興奮”に重きを置く。興奮スタイルだ。


 


 


射〇と興奮、目的の違いが2人の歩幅に違いを産んでいた。


 


 


理想を言えば、保険の説明を聞きながらギンギンになった男の下腹部に保険のお姉さんが気づいて「後で2人でゆっくり話しましょう」となる事だ。


 


 


これはさすがに欲張りすぎだ。AVの見すぎだと言われてもしかたがない。


 


 


そこまで言わずとも話しかけられることくらいはあるだろう。しかし、運が悪い場合は部長に「ちょっと来てくれ」と呼ばれて、お昼休みと保険のお姉さんと話す機会を失ってしまうかもしれない。このハゲチャビンめタイミングを考えろタイミングを。


 


 


こうなってしまえば最悪のケースにも思えるが、最後に以下のパターンがある。


 


 


保険の説明を聞きながらギンギンになった男の下腹部に部長が気づいて「後で2人でゆっくり話しましょう」となる事だ。


 


 


部長に呼び出された先で何の話があるのか、気が気でない状態になるのは間違いない。もはや人事の話かチンチンの話かという分水嶺だ。


 


 


 



ひとしきりサキュバスの話で遊んだ所で、チアガールの話に戻ろう。


 


 


 


秋雨が降る夜に私は大学時代の友人Mと東京駅八重洲口の焼肉屋に来ていた。一度も行った事の無い店だが、好き勝手食えば一人1万円くらいかかるちょっといい焼肉屋だ。


 


 


木曜日と言う微妙なタイミングで行ったからか、見渡せるほどの大きさしかない店内には、カップル、中国人団体客、SDGsバッチをつけた偽小池都知事一派、そして我々の4組だけだった。


 


 


私たちはダラダラと中身があるような無いような話をしていた、仕事の話、転職の話、仕事の話、ここ最近の状況についてだ。


 


 


腹もいい感じに満たされた所で我々の席に乳のデカいチアガールが現れた。なぜこのタイミングで現れた女性をチアガールと判断したかと言うと、チアガールが着る服を来ていたからだ。よく考えればあの服はチアガールじゃない人が着る事多い気がするが、彼女は間違いなくチアガールだった。


 


 


「すいません、、、このサプリメントをオススメしたいんですが少しよろしいでしょうか」


 


 


チアガールじゃなかった。どこの世界にサプリメントを売り歩くチアガールが存在するのだ。黄色い声援で応援するはずのチアガールが、黄色い化学合成物質でこちらを応援しようとしているのだ。この娘はチアガールの服をきた謎会社の営業だった。めんどくさいのでこの際チアガールと呼ぶことにする。


 


 


「いくら?」 


 


 


もう買うことになっていた。私の脳内CPUのFOXとRAYと対面の友人Mはさぞ驚いた事だろう。彼女が一体何を売っているのかも聞いていないのに脊髄で購入する判断を下していた。


 


 


彼女が持ってきたのは小さな黄色い袋に入ったシジミのサプリメントだった。なんとこちらお値段500円。



 


 


絶妙だ。八重洲口のちょっと良い店で食事をする人間が500円のサプリメントを断るわけが無い。良い店でお酒を飲んだ男たちからすれば2000円以下は端数のような物で、事実上の無料のサプリメントだった。それをマッチ売りの少女のように肩と乳をあらわにした若い女性が売っているのだ。売れないわけが無かった。


 


 


冷静になってみれば気づく事が2つあった。まず、500円は高いということ。そしてもう一つは、マッチ売りの少女は肩と乳をあらわにしていないという事だ。


 


 


500円というのは法外な価格のような気もするが、そんなことはどうでも良くなっていた。五反田のきったない大衆居酒屋ならまだしも、八重洲口の結構綺麗目のお店に現れたチアガールについて相当興味が出てきたのだ。


  


 


まずはこれだ。「お姉さんはこのサプリメントを作っている会社の社員さんということですか?」


 


 


余りの即決で終わってしまっては「邪魔だから金持ってさっさと立ち去れ」と言っているように感じるかと思い、上記の質問を私は投げかけていた。結果としてこの後、会社にクレームを入れようとしている人の様になってしまったので「すいません興味本位で聞いているだけです」と補足しておいたので安心して欲しい。チアガールを困らせて喜ぶ趣味は無い。


 


 


チアガールは「私はバイトでこれを売っているだけです」とのことだった。


 


 


いや他にバイト無かったんかい。と言いたくなったが彼女は可愛く、乳がデカイ。何をさせるべきかと言うと、どう考えたってチアガールをやらせるべきだった。他にバイトなんて無かった。これ以外の選択肢はなかった。


 


 


「一個当たりどれくらいお姉さんは貰えて、一日どれくらいうるんですk」と私が言ったところで、もはや好奇心モンスターと化した自分の姿にRAYがSTOPをかけていた。


 


 


 


「すいません余計な事聞きそうになっちゃった。」と誤魔化した。そうして二人分のサプリメントをじゃんけんで負けたほうが買うという事にして、シラフの私が負けて二人分のサプリメント、計1000円をチアガールに渡していた。


 


 


お札を受け取りながら、チアガールは快く?「1個当たり150円です」と答えてくれた。なるほど、それならと、「じゃあこの千円普通にお姉さんにあげたほうがよかったですね」と冗談交じりにチアガールに言ってみた。すると


 


 


「いや、売りたいです」とチアガールは答えた。


 


 


「イヤ、ウリタイデス」?なんだこの雇い先に対する忠誠心は。まるで「売り上げを重ねることが自信の成長につながるので」と言わんばかりの堂々とした回答だった。


  


 


八重洲口のちょっといい店でチアガールで歩くことは、並大抵のメンタルではない。あんたは例えどんな事をしてでも金を稼ぎたいタイプの人間だろうが。と思ったがそれはもちろん言わないことにした。


 


 


そうしてチアガールは我々の元から立ち去った。後から気づいたが後ろの中国人団体と偽小池都知事の席では売り込まなかったようだ。なかなか相手を選んでいるようだった。


 


 


その後Mとの話題はチアガール一色となった。内容は大きく3つに分かれる。


 


 


まず1つ目は”いつどうやって許可をとったのかだ”。

繰り返すが、結構綺麗な店で、野生のチアガールが歩いていて良い雰囲気ではない。お店の許可を取っていることはまず間違いなかったので、店員に確認してみた。


 


 


「さっきチアガールがこの席に来たのですが、お店が許可してるんですよね?」と聞くと女性店員は「は?」とリアクションを取った。


 


 


チアガールは幻だったのか。そう思ったが、店員はアジア系の外人だったようでうまく言葉が呑み込めなかっただけだった。少し話してみると「このビルに関係のある会社だから自由に入れるチアガールだ」とのことだった。顔パスチアガール。



 



東京駅の一等地の綺麗なビルを運営する会社が、若い女の子をチアガールにしてシジミのサプリメントを売っているとは思えず、謎は深まるばかりだった。


 


 


ちなみにサプリメントの裏には名古屋を本社とする、なんちゃらという会社が書かれていた。なるほど、名古屋じゃあしょうがない。名古屋はろくでもn(偏見)


 


 


二つ目の疑問はこのバイトを説明する時、誰がどのように説明しているかだ。パターンは主に2つあると考える。


 


 

パターンAは募集段階で提示されている場合だ。「チアガールのコスチュームを着て、羽振りがよさそうなおっさんにシジミのサプリメントを売るバイト。歩合制1個当たり150円」こんな感じだ。これに”応募”を押すメンタルがえげつない。


 


 


まず自分にチアガール姿が似合うという自信。それに加えて、シジミのサプリメントを売りつけるという自信。最後に1個当たり150円で自分なら結構稼げると判断した自信。


 


 


5:3:2程のブレンドで構築された自己実現力はハイエンド人材のそれだった。流石八重洲口の一等地のビルを運営する会社のバイトだ、面構えが違う。


 


 


パターンBは「サプリメントの売り子」と聞いて事務所に行ったら、チアガールの衣装を渡され居酒屋を回って稼いで来いと言われたパターンだ。



 


泣く泣くバイトに出たのであれば仕方がないが、「いや、売りたいです」と言った彼女の目はまっすぐであり、パターンBである可能性は低かった。それにあれだけチアガールが似合う女の子が、たまたまバイトに来る可能性は天文学的確立だ。それこそ可能性が低い。


 


 


3つ目の疑問は「どれだけ稼いでいるか」だ。あれだけのハイエンド人材が東京駅を売って回れば相当稼げることが推測できる。そのビルの他の階は、かるく50人近く客が入っており、それが8階建てだ。


 


 


20%の客が買ったとしても、50(人数) *8(フロア数) * 150(単価) *0.2(%)。大体1万2千円くらいだろうか?20%という控えめな数字でこの価格だ。2万は軽く稼いでるかもしれない。


 


 


何だって勉強ということで。ググってみると簡単に出てきた。一部界隈では有名なのかもしれないが、これは「ウコンガール」と呼ばれ人気のアルバイトだったそうだ。


 


 


基本データ

時給 歩合制(約3時間で8,000~20,000円)

勤務時間 19:00~22:30


居酒屋でPRをするのは大変そうだけど、歩合制だから短時間でがっつり稼ぐことができるのも人気の秘密?


Voice

居酒屋のお客さんはノリがいい(笑)

「居酒屋を回りながらウコンやしじみエキスの粒を販売♪お客さんのノリがよくて売れ行きがいいと、夜だけで約2万だから割がいい!」あやさん(大学4年)



 


 


なんということだ、世の中はウコンガールを名乗るサキュバスで満ち溢れていた。結構居酒屋に行く私でも、飲んでいる最中に現れるのは、タバコの営業か手品マン、略して〇〇ンくらいしか見たことが無かった。世界の広さを知ることが出来たチアガールに感謝を伝えたい。


 


 


騙し合って築いた文明に、最大どれ程の価値がある

この記事は決して現代に潜むサキュバスを批判するものではないという事を伝えると共に、エッチジャンイイネという文化について伝えておこうと思う。


 


 


エッチジャンイイネとはGAFAMも導入している世界的な人間行動学の考え方で、エッチじゃんと思った物にはイイネ!をすることを推奨する文化である。


 


 


保険の営業のお姉さんはイイネ!居酒屋に現れるチアガールもイイネ!Twitterで水着を披露しいてくれるグラビアアイドルにもイイネ!ネットに乗せるムフフな絵を書いてくれる絵師さんにもイイネ!


 


 


こうして全ての人間は”エッチである事が良い事か悪い事かどうか”という性的搾取云々を考える前に、まずはイイネ!をしてエッチなのは良い事だと刷り込ませる。そうしてエッチジャンイイネという思想を人類に根付かせ、人類の繁殖を促してきたのだ。


 


 


ここまでのエッチジャンイイネの内容をふざけた虚偽の報告だと思っているのであれば、まずは世界の広さを学ぶことから始めたほうがいい。


 


 


エッチジャンイイネはGAFAMではサムズアップのアイコンで使われるているが、その起源をご存じだろうか。この記事を虚偽だとバカにしているあなたも日常的に行っている事だ。


 


 


 


自宅でエッチな動画を再生し、自家発電の前には「頂きます」の意味を込めて全人類(男性のみ)がサムズアップをしている。自分のその姿を想像してみるとすぐに分かる。


 


 


 


 


 


 


 


動画を再生し、ココだ!思ったタイミングでイチモツを握ろうとする、その瞬間の右手の形、、、、おわかりになっただろうか、、、


 


 


 


 


 


 


 


このエッセイ書くのに2時間掛かってます、まともな会社員が休日にやることではありません。

エッチじゃないけどイイネと思った人はイイネとかリツイートとかお願いします。


 


 


 


おわり。

普段は真面目な小説書いているんです。本当なんです。


最近ツイッターアカウントを作ったのでちょっとでもクスッと来た方はフォローお願いします。


全力フォローバックしますので。


https://x.com/sakura_koguma12




ちなみに最近悲しかったことは、フォロバ100%のアカウントにシカトされたことです。

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精滴搾手? ユッケジャンウマイネ!
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