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第66話 初デート!


土曜日の朝、いつもより早く目が覚めた。ベッドから起き上がって、まず最初に考えたのは今日のデートのことだった。


「……いよいよか。」


デート当日。


俺が水瀬を誘って、二人で遊びに行くことになるなんて、少し前までは想像もできなかった。


でも、今日がその日だ。緊張しないようにしなきゃと思っても、どうしても胸がざわつく。


田中莉が選んでくれた服を身につけ、鏡の前で少し確認する。

悪くはない、と思いたい。田中莉のアドバイスを思い出しながら、自然体でいこうと心に決めた。


「よし、行くか……」


待ち合わせ場所は、駅前の大きなショッピングモール。水瀬とは午後に映画を観る約束をしている。




******




早めに家を出たつもりだったが、水瀬はすでに待っていた。


「田中くん、おはよう!」


彼女の明るい声が、少し緊張していた俺の心を和らげた。


「おはよう、水瀬。ごめん、待たせた?」


「ううん、全然!私もさっき来たばかりだから。」


彼女は笑顔で答えてくれた。その笑顔を見ると、自然とこちらも笑顔になる。光莉が言っていた通り、あまり気張らずに自然体でいこう。


「今日は、映画観るんだよね。何を観るの?」


水瀬が嬉しそうに聞いてくるので、俺は事前に調べておいた映画のラインナップを頭の中で確認する。


「そうそう。ちょっと話題になってるアクション映画があったから、それにしようと思ってるんだ。」


「あ、それ面白そう!いいね!」


水瀬は映画の話をしながら、映画館の方に向かって歩き始めた。


俺も後ろをついて歩きながら、自然とリラックスしていくのを感じた。いつもの会話の延長線上だと考えると、少し気持ちが楽になった。


映画館に着くと、チケットを買って、軽くポップコーンを持ちながら席に座った。映画が始まる前の数分間、何となく水瀬との会話が弾んだ。


「最近、映画館で映画観るの、久しぶりかも。田中くんは映画よく観る?」


「うーん、最近はあまり行けてないかな。家で観ることが多いけど、たまにはこうやって大きなスクリーンで観るのもいいよな。」


水瀬は「そうだよね!」と頷きながら、楽しそうにポップコーンを口に運んでいた。


映画が始まると、俺は水瀬がどういう反応をしているのか気になって、たまに横目で彼女の様子をうかがってしまった。


水瀬は映画に集中しているようで、時折笑ったり、真剣な顔をしたりと、表情豊かに映画を楽しんでいた。


映画が終わると、席を立ちながら、彼女が楽しそうに感想を言い始めた。


「すごかったね!アクションシーン、迫力あったし、最後の展開なんてびっくりしたよ!」


水瀬の目がキラキラしていて、俺も自然と笑顔になる。


「確かに、最後のどんでん返しは予想外だったよな。思わず声が出そうになった。」


俺たちは映画の話題で盛り上がりながら、映画館を出た。話題に困ることなく、映画の感想を共有できるというのは確かに良い選択だった。


次はショッピングモール内のレストランで食事をすることにした。


水瀬が少し疲れている様子だったので、ゆっくりと食事しながら休むことにした。


「田中くん、今日楽しいね!」


そしてふと。彼女がそんなことを俺に向かって言ってきた。


水瀬が嬉しそうに笑う姿を見て、俺の緊張もほぐれていく。彼女がリラックスして楽しんでいるのを見ると、俺も少し自信が持てるようになった。


「俺も楽しいよ。誘って良かったと思ってる。」


そう言うと、水瀬は少し驚いたように目を見開いた後、照れくさそうに笑った。


「私も、誘われて嬉しかったよ。」


その言葉に、俺は胸が熱くなった。


自然と頬が緩んでしまい、心の中で少しずつ、告白のタイミングが近づいていることを感じた。


食事を終え、ショッピングモールを少し歩いて回った後、そろそろ時間もいい感じになった。


水瀬も楽しんでいる様子だし、俺もこのデートを無事に終えられそうだという安心感があった。


「今日はありがとう、田中くん。すごく楽しかった!」


水瀬が少し名残惜しそうに言ってくれた。その言葉を聞いて、俺は思った以上に今日がうまくいったことを実感した。


「こちらこそ、ありがとう。俺も楽しかったよ。」


水瀬が嬉しそうに笑ってくれるのを見て、俺は再び胸の中で告白の言葉が浮かびそうになる。


でも、今日はまだそのタイミングじゃない。デートを成功させた今、自信を持って、次のステップに進めるかもしれない。

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