第23話 後輩女子の成長を嬉しく思う恋愛相談キャラ
次の日、昼休みに教室を出て図書館へ向かおうとすると、廊下の先に見慣れた姿があった。元気よく手を振って近づいてきたのは、1年生の佐藤優奈だった。
「田中先輩!また相談に乗ってもらっていいですか?」
優奈はいつものように明るく声をかけてきた。
彼女のそのエネルギッシュな姿を見ると、自然と笑顔がこぼれる。
彼女は最近、中村君との距離を縮めるために頑張っていて、俺もそのサポートをしてきた。
「もちろん。どうした、また進展あったのか?」
「はい!少しずつですけど、中村君と話せるようになってきました。でも、次にどうしたらいいか分からなくて……」
優奈は少し恥ずかしそうに笑いながら、俺の隣に座る。
彼女の恋愛が進展しているのを聞くと、少し嬉しくなった。彼女の純粋で真っ直ぐな恋に、俺も応援したいという気持ちが湧いていた。
「それは良かったじゃないか!少しずつ仲良くなってるんだな。次はどうしたいって思ってるんだ?」
俺がそう聞くと、優奈は少し顔を赤らめながら、小さな声で言った。
「もっと、彼と一緒にいたいんです。話してるとすごく楽しいし、もっと彼のことを知りたいなって……」
その言葉を聞いて、俺はまた水瀬のことを思い浮かべた。優奈の「もっと知りたい」という気持ちに、自分も同じような感覚を抱いていることに気づく。だけど、それがどういう感情なのかはまだ曖昧なままだ。
「そうか……じゃあ、次は一緒にどこかに出かけてみるのはどうだ?学校の外で話せば、また違った感じになるかもしれないし、自然に距離を縮められるかもしれないぞ。」
俺がアドバイスすると、優奈は目を輝かせた。
「デート……ですか?ええっ、そんなのまだ早いかもって思ってたけど、やってみようかな……」
彼女の顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。
そんな彼女の純粋無垢な様子に思わず笑ってしまったが、優奈の恋愛が一歩ずつ前進しているのを見て、俺も少し感動した。
「焦らなくても大丈夫だよ。別にデートって大げさに考える必要はないし、軽く遊びに行く感じでいいんじゃないか?」
優奈は俺の言葉に納得したようで、少し落ち着きを取り戻した。
「そうですね……じゃあ、今度の週末にどこか誘ってみます!」
彼女の決意を聞いて、俺は心の中でガッツポーズをした。
彼女がこうして前向きに恋愛に向き合っている姿を見ていると、自分の気持ちにも少しずつ整理がついていく気がした。
その後、優奈は中村君を週末に誘った。彼女がそのことを報告してくれた時は、俺も本当に嬉しかった。
彼女の純粋な努力が実を結んでいく様子を見るのは、何か特別な感情を抱かせる。
「田中先輩!中村君、誘いに応じてくれました!一緒にショッピングモールに行くことになりました!」
優奈は目を輝かせながら、俺にそのことを報告してくれた。
彼女のその笑顔を見ると、俺もつい笑顔になってしまう。
こんなに頑張っている彼女の姿を見ていると、自分も誰かに対してこうやって一歩踏み出せる日が来るのだろうか、なんて考え始める。
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「田中先輩、デートって何をすればいいんですか?何を話せばいいかも分からなくて、すごく緊張してるんです……」
デート前日、優奈が少し不安そうに聞いてきた。彼女のその気持ちはよく分かる。
誰かと一緒にいる時にどう振る舞えばいいのか、どんな話をすればいいのか──それは恋愛に限らず、いつでも悩むところだ。
「デートって言っても、普段の延長みたいなものだよ。中村君と話していて楽しいことを思い出して、そこから話題を広げればいいんじゃないかな。あとは、自然に相手と一緒に過ごすことを楽しめれば、それで十分だと思う」
俺は自分ができる限りのアドバイスをした。正直、恋愛経験が豊富なわけではないから、優奈の期待にちゃんと応えられているか分からない。でも、彼女が少しでも安心してデートに臨めるようにと思って、真剣に考えた。
「田中先輩、ありがとうございます!頑張ってみます!」
優奈は元気よくそう言って笑顔で帰っていった。彼女の恋路が順調に進んでいることを感じて、俺も少しホッとした。
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週明け、優奈は朝から嬉しそうに報告してくれた。
「田中先輩!デート、すごく楽しかったです!中村君ともっと仲良くなれた気がします!」
彼女の報告を聞いて、俺も心から嬉しかった。彼女の恋愛をこうしてサポートできたこと、そして彼女がその恋愛に向き合って一歩踏み出したことを感じていた。
「それは良かったな!これからも焦らずに、少しずつ距離を縮めていければいいんじゃないか?」
優奈は大きく頷いて、満面の笑みを見せてくれた。




