思うように
「私、実は・・・」
「分かった。描くよ」
次は僕が遮って言った。これ以上聞いてはいけない気がするし、聞いたら芽衣が傷つく気もした。
「ほんとに!?ありがとう!」
そういって芽衣はもとの黄色い表情を取り戻した。
僕は、
「手を描こうか」
というと
「いや足を描いて」
なぜだと疑問に思った。しかし、表情がまた変わるのは考えたくもない。
「分かった。でも僕スマホを持ってなくて家では書けないかも」
そういうと芽衣が
「あ、マジか!分かった、ちょっと待って」
そういうと扉をすごいスピードで開け廊下を走っていった。3分も経たないうちに元気な足音と共にA4の紙を持ってきた。
「見て見て!先生に印刷してもらった!」
その紙にはカラーで芽衣の足が写っていた。とてもきれいな足をしていた。色は褐色で指の先までがすらっとしており爪もきれいに手入れされていた。じっと見とれていた僕に芽衣が言う。
「そんなジロジロ見ないでよ!恥ずかしいじゃん」
これからこれを見て描くのだから恥ずかしいとか言わないでほしい。少し頬を赤らめながら芽衣が言う。
「桐谷君の思うように描いてくれたらいいから。でもその作品は私に頂戴ね!楽しみにしてる!」
そう言っていつもの友達グループへと戻っていった。思うようにって、自由が一番困るんだよなと思っていると昼休み終了のチャイムがなった。僕はA4の紙をスケッチブックに挟んでバックにしまった。つまらない現代文の授業が始まる。