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芽衣の色

 「絵、ほんと上手だね!」

芽衣がまた話しかけてくる。

 「そうかな?何描いてるかわかる?」

僕もいつも通りの回答をする。

 「わかるわかる!桐谷君の手でしょ!」

 「よく分かったね。正解」

初めて声を掛けてきて以来なぜか毎日話すようになった。芽衣のことは何も知らない。というか知らなくていい。自分の軸が狂いそうだから。学校にいると芽衣と話したり、部活動のせいで静寂が減ってしまう。なんだか落ち着かない。彩が多すぎて。静寂と彩は共存できないみたいだ。

 「ねえ、桐谷君って自分の体の絵を良く書いてるよね。なんで?」

あまり聞かれたくないこと聞かれた。嘘でもつこうかと思ったけどキラキラした目で見てくるもんだから嘘はつけなかった。

 「自分に自信がないから絵の中で個性を出そうと思って」

 「へー、そうなんだ」

馬鹿にされたか。まあいつも通りだ。どうぞ馬鹿にしてくださいって感じだ。

 「いいね!それは絵でしか表現できないことだし素敵だと思うな」

ポジティブ過ぎる。あまりにも。普通であれば「なんだそれ」と思うことだろ。

 「ならさ!私の手を描いてよ!」

 「君は自信も持ってるし個性もあるから描か・・・」

 「え?」

 また遮って芽衣は言った。

 「私が自分に自信があると思ってたの?ああ、でもいつも明るく接したりしてるからそう見られてるのかも」

 僕は驚いた。こんなに表情がコロリと変わるのかと。黄色のような表情をしていた芽衣が急に漆黒のような表情となった。何か心の中に秘めた見ても聞いてもいけないものを開いてしまったような気がした。


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