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これから2年

何も言えない。なんとなく勘付いていた。でもえ?2年。待ってくれ。そんなの。

「ごめんね。初めからみんなに言うべきだったんだ。でも病人の私を気使ってみんな楽しめないでしょ。だから普通を装ってたんだ。なんの病気もない普通の女子高生に。でもやっぱりみんなの普通は普通じゃなくて、将来の話とかしたり、部活の話とか、、、、羨ましくて」

未だに口が動かない。言ってあげたい言葉はたくさんあるのに言って良いことなのか分からなくなった。

「君が一人で絵を描いてるところを見つけてこっそり絵を見たことがあったんだよね」

あの初めて会った時だ。

「その時色が何にもついてなくてグレー色。まさに自分の気持ちを表しているように感じて、君に私の生きた証拠を残してほしくて一部の体の絵を頼んだんだ」

なんだよ、それ。絶対に死んでしまうような言い方するなよ。

「本当に悪いことをしたなと思ってる。君の時間を奪tt」

「うるさいな!なんで死ぬ前提の話をしているんだよ!」

感情が爆発してしまった。制御できない。なんか視界が揺らいでる。生ぬるい涙が流れているみたいだ。

「ごめんとか、悪いとかなんでそんなこと言えるんだよ!一番しんどいのは芽衣だろ!」

ふと顔を上げる。芽衣が泣いていた。涙、鼻水分からないくらいに。

「そんなこと言ってくれたの桐谷君が初めてだよ。ありがとう」

涙を拭いながら精一杯笑っていた。

「俺、芽衣の絵絶対に完成させるから。だから、だから絶対に生きろ。生きて生きて生き抜いて完成を見てくれ」

こんな言葉が自分から出てくるとは思わなかった。

「初めて私の名前読んでくれたね」

 笑顔で言ってきた。不意に出てしまったらしい。

「分かった。生きるよ。でも2年は変わらない。必ず充実させる」

涙が止まっていた。

「この話をしたのは君が初めて。この話を聞いた君には責任を取ってもらおうかな?」

目を赤らめて笑いながら言う。

「僕にできることなら」

そう言った。この病気の話を聞いた瞬間僕は芽衣の人生を彩ることが使命だと思った。

「じゃあ、リストを作ります」

そう言って真っ白なノートに書きだす。


1.私の絵を完成させる。

2.この話は誰にもしないこと。

3.常に笑顔で話してね。

4.私が倒れた時は悲しまないで前を向くこと。

5.これから芽衣と呼ぶこと。


こんなことでいいのかと思ってしまった。そして僕もペンを持ち付け加えた。


6.人生を全うし、全力で楽しむこと。


芽衣にはこう生きてほしいと思うから。

「ふっ!何それ!」

笑った。

「なんで笑うんだよ。君みたいに真面目で周りを元気にするような人は満足する人生を歩む義務がある」

 真面目に答えた。

「桐谷君、私の事そんな風に思ってくれていたんだ」

芽衣が顔を少し赤らめながら言う。でも本当のことだから。

「それじゃ、君がこの先の人生が最高なものになるようにサポートする。絵も必ず完成させて見せる。だから僕を頼ってね。友達はいないけれど…」

するとキョトンとして芽衣が言う

「私がいるじゃん!」

やっぱり芽衣には敵わないみたいだ。

「じゃあ、さっそくお願いしたいことがあるんだけど…」

これから僕たちの2年が始まる。



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