私、実は、、、
今日は部活が早く終わった。来週は記録会だからだ。都合が良い。早く教室に行かなければならない。芽衣が待っているかもしれない。
「光喜、悪い。今日用事あって一緒に帰れない」
「おう!分かった!俺今日もあそこ行ってくるよ!」
また行くのか。前僕が行った以来、光喜は週3くらいのペースで行っている。
「香耶さんとお父さん会いたがってぞ。たまには一緒に行こうぜ!」
会いたがってるって。社交辞令だろと思いつつ
「分かった。また行くって2人に伝えておいて」
「了解!」
そういって別れた。
校庭から下駄箱に入って階段を上る。足が重い。自分が知りたくてあんなこと言ったのに。その場になると怖くなる。
教室を見る。誰もいない。まさか居ないなんてことは。芽衣は帰宅部だから絶対に居るはずなのに。
自分の席に腰掛ける。
「どこ行ったんだろ。まさか帰っていったわけないよな」
ドアが滑る音がする。
「あ、早かったね」
いつも通りの笑顔でそう言ってくる。
「部活お疲れ様。わざわざここまでありがとね」
作り笑顔っぽい。分かる。よく自分もするから。
「いや、こちらこそこんな時間まで残ってくれてありがとう」
「約束だから…」
と、か細い声で言う。
そして、ゆっくりと口を開けて言う。
「私、病気なんだよね。あと2年もつかどうかなんだ」