4話 一筋縄ではいかないコト
さて、まずは街に行かないといけないけど…どっちに街あるんだろう?聞いておけばよかった。
『そこから南東の方向に歩いていけば街だよ。でも、まだLv1の君達にはちょっと辛いかもね。まずは東に進んでみたら?広い草原に出るよ。』
お、神様ナイス。因みに何日くらい歩けば街に着く?
『…それはお楽しみ☆』
はい、道のりは長いのね。覚悟しておくよ。
「レオ、まず東に進もうか。」
「どうして?街は南東の方角だよ?」
「Lv1じゃきついってさ。」
「なるほど、まずはLv上げか。」
それじゃ、東にある草原へレッツゴー!
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ちょっと歩いたら木が殆ど生えていない所に出た。今まで森みたいな感じだったから少し新鮮な感じ。
…遠くにスライム発見!よっしゃ!狩るぞ!って事で早速火の初級魔法『ファイアーボール』!よし、命中。ふはははは!燃えろ燃えろぉ!あ、スライムの場合蒸発しちゃうのかな?
「あ!ランずるい!」
「ふふん、獲物は早い者勝ちだよレオ。」
「くっそ!こっちは遠距離攻撃持ってないのに!」
「なんにでも相性があるのだよ。」
お、遠くになんか居る。仕方がない。今回はレオに譲ってあげよう。
「レオ、スライムがいた方向に何かいるよ。」
「え?マジ?やっとLv上げられるわ。」
「まぁ頑張れ。傷ついても治してあげるから。」
ファイト、レオ。いざとなったら助太刀してあげるから当たって砕けてこい。あ…やっぱ砕けるのはナシで。
…取り敢えずスライムよりは強い気がするし鑑定しておくかな。『鑑定』!
【種族 コボルト 個体名 フリル
Lv17
HP 356/356
MP 127/127
攻撃 102
魔法 99
防御 181
素早 213
スキル『鎧砕きLv7』『地ならしLv2』『アレニヴァル語Lv-』】
レオストップ!やばいこれは。相手にしたら粉砕される!
って走り出してるし!風魔法『スロウ』!
「ちょっ、ラン?!なにしてんの?」
「鑑定してみたらわかるから。」
「うん?……あ。」
納得した様子。ってあぁぁぁぁ!こっちに気づいて走って来てる!こんなに素早負けてたら逃げ切るのは無理だな…諦めよう。言葉も通じるみたいだし好戦的な性格じゃない事を祈る。…あ。『スロウ』は解除してあげよ。
「ちょっと君達、いいかな?」
…お?もしかして襲ってこない感じかな?
「実は街に行きたいのだけど、道が分からなくてね。道案内を頼めるかな?」
だそうだけど、神様できる?
『どうして私を頼るの?』
いやだって道知らないし。
『はぁ…まぁ情けは人の為ならずって言うしね。いいよ、道案内任されてあげる。』
流石神様!話が早くて助かるよ!って事で、
「分かりました。いいですよ。」
「え?ラン?」
「いやぁよかった!本当にありがとね!」
一瞬レオの声が聞こえた気がするけどきっと気のせい。
――――――――――
この後、軽く自己紹介しあった。レオが間違えて名前を呼んでしまい鑑定持ちだという事がバレたけど。
「本っ当にごめんなさい!」
「いやいや。俺一応魔物だし、鑑定されてもしょうがないよ。」
そう、フリルさん実は魔物なんです。まぁ犬獣人と殆ど変わらないんだけどね。
「なんで街へ?」
「まず、コボルトの習性…というより使命があるのは知ってる?」
「「知りません。」」
「じゃあまずそこからだね。コボルトは先祖代々魔物では珍しく人間と交流していたんだ。まぁ住む場所が違うから関係は浅いけどね。それでも、人間と交流できるかどうかで俺達コボルトが絶滅するかどうかが決まってしまうんだ。そもそもコボルトは強い魔物じゃないからね。その橋渡しをしていたのが俺の先祖。だから、俺は今から街へ行って交渉だのなんだのをしないといけないのさ。因みに人間と交流している魔物の代表はドラゴンかな。」
との事。いや大変だなぁコボルト。私はこんな事できる気がしない。
「そういえば、君達って何歳?」
「「4歳です。」」
「へぇ!4歳のカップルか!いやぁ若いねぇ。」
「へ?」
「え?」
か、カップル?!いや確かにレオかっこいいけどさ!姉弟だからね?
「いやぁ噂通りだなぁ。獣人は美形が多いって聞いてたけど本当なんだなぁ。目も綺麗だね。羨ましいよ。あ、何歳に…」
「…レオは双子の弟です!」
「…ランは双子の姉です!」
フリルさん勘違い凄いな?!
「双子だったのか。これは失敬。」
「そういうフリルさんは何歳ですか?」
「ん?俺は16だよ。」
なんと、私たちの4倍生きていました!
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〜視点変更〜
???視点
ここが、最後の家ですか。凄くあっけないものです。もうちょっと楽しめると思っていましたけど期待外れでした。
…まぁ小さな集落にしては楽しめたでしょうか。長居する気もないですしさっさと終わらせてしまいましょう。
ーードンっ!
「だっ、誰だ!」
おやおや、ドアを蹴破ったらイケメン狼さんのおでましです。
「あなた!今の音は…って?」
次は可愛い栗鼠さんですか。…2匹とも他の人よりは強そうですねぇ。殺りがいがあるってものです。懐にしまってあるナイフで牽制してみましょう。
「うおっ!いきなりなんだ!!」
…手元にあった剣で綺麗に受け流されてしまいました。やはりさっきまでの人達とは違いますね。
「『フレイムボール』『ウィンドカッター』!」
次は魔法ですか。しかも2種類。どちらもかなりの手練れのようです。…ですが気になります。フレイムボールはかなり高威力の魔法。それに対してウィンドカッターは初級魔法。
「『クレイウォール』!」
…目の前に土の壁が。でもこれくらいなら簡単に壊せます。…っつ!そういう事ですか!
ウィンドカッターで酸素を送ってフレイムボールの威力が底上げされています!…仕方がないです。1発くらいもらってあげるふりをしてあげましょう。
「…やったか?」
「…多分。ってえぇ?」
残念でした。1回だけですが魔法を無効化するアイテムを持っていました。備えあれば憂いなしです。
「なっ……。」
戦場ではその一瞬の隙が命取りですよ?
「…ぐは…。」
まずは狼さんから。
「た…助け…。」
次は栗鼠さんです。早速トドメを刺す事にしましょう。
「…ラン……レ…オ…。」
最後の最後に楽しませてもらいました。仕事とはいえ楽しめなかったら続きませんからね。これにて依頼完了。早速戻りますかね。