3話 親の愛情
最初の方が少し暗めです。
改稿のお知らせ。
神様の一人称が私から僕に一部変わっていました。すみません。
〜視点変更〜
レオ視点
「何を隠そう、私も転生者なのだ!」
その言葉を聞いた時、涙が溢れ出した。なぜ溢れ出したのかは、分からない。なぜなら、僕は僕が分からないから。僕には記憶が無いから。正確には殆ど無いから。
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僕は、シングルマザーの家庭で育った。母は優しく、僕をいつも支えてくれた。多分、母がこんな性格じゃなかったら僕は捻くれていたと思う。たった一人で僕を育ててくれた母を尊敬している。僕は母を守りたい。護りたい。そう思っていた。
事件は突然起きる。母と買い物を終えて帰っている時、目の前から刃を持って走ってくる男性が居た。その目は狂気に満ちていた。僕は足が動かなかった。母を守ると決めたのに。護ると…決めたのに。目の前には、倒れた母。そして連なるように倒れる僕。その後は…分からない。
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〜視点変更〜
ラン視点
その後の事は神様に聞いた。
『彼が私の所に来た時、身はもちろん、心もズタズタに切り裂かれていた。自分への失望、未来への絶望、希望なんてどこにもなかった。そのショックで、彼は記憶を手放した。でも、意思はあった。母を助けたい。母を守りたい。…力が…欲しい。そう願っていた。だから、私は力の強い狼に転生させてあげた。大切な人を今度こそ、を守れるように…今度こそ、護れるように…ね。』
…凄く悲しい過去だ。
でも、なんで私達双子として生まれたんだろう?
『それは、彼が…レオ君が今度こそ守りたいと思えるような人が居るとは限らないでしょう?それに、レオ君は深い傷を負っている。この傷を治せるとしたらきっと本人だけ。しかも!タイミングよく死んじゃった君は頑張り屋で優しい。レオ君が守りたいと思えるような人はきっとこんな人なんじゃ無いかなぁっと思ってね。』
いやまぁ確かにレオの事は大事だけども…。その役目は他の人でも良かったんじゃ?
『分かってないなぁ。私は動物の神様。動物に関しては誰にも負けない。…けど、逆に他の事は殆ど無理。そして、獣人になってくれそうな人…そう!野良猫を守った君!という事。あ、そうそう。私が君達を守ってるから簡単には死なないようになってるからね。それに…もしレオ君が守りたいと思った人をまた守れなかったら…魂が傷ついてしまう。もう、転生すらできなくなってしまうかもね。』
そんな重大な事は先に言ってよ!まぁ可愛い事に変わりは無いし、絶対レオを大事にするけどさ!心の準備ってもんがあるでしょうが!
『まぁまぁ、そんな事より泣くのをやめたら?』
…しょうがないじゃん!こんなの聞いて泣かない人なんていないでしょ!
「…お姉ちゃん、抱きつく力強くて痛い。」
「もうちょっとだけ…。」
「えぇ…(困惑)」
この後、私の泣き声を聞いて駆けつけた両親がまた温かい目をこっちに向けてどこかに行ってしまった。…もうなんかいいや。それよりもレオの事だ。
「…レオ。大きくなったら、お母さん達と同じ冒険者に一緒にならない?」
「え?まぁ強くなりたいしそれはいいけど…なんで?」
「実は、私神様にちょっと頼まれごとされててさ。私も強くならないといけないんだよね。それに初対面の人と一緒に戦いたくないし、レオは前方、私は後方担当って事で相性よさげだし。」
「うーん…じゃあ1つだけ条件!その神様からの頼まれごと、僕にも手伝わせて!」
「それは…うん分かった。でも、私からも1つ。絶対に、絶っ対に、死なないで?」
「…分かった。なるべく気をつけるよ。」
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「あなた、どうする?」
「どうするって…あいつらが本気か試すしかねぇな。」
「そうね、私もそうするわ。」
隠れて2匹の会話を聞いていた2人は、これから凄く厳しくなった。
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…つ、疲れた。レオと約束を交わしてから2年、私達はずっと鍛えていた。おかげで適正のあった魔法は全てLvMAXになった。火・風魔法もLv7まで上がった。そろそろ親離れの時期かな。…え?まだ4歳なのに早いって?早く無いんだなぁこれが。ほら、動物って成長早いじゃん?それだよ。因みに寿命は人間と殆ど同じ。なんか両方のいいとこどりみたいな種族だなぁ。…なのになんで数少ないんだろう?
4歳になって変わった事がある。それは、
「ラン〜。どっか行こ。」
そう。レオが私の事を呼び捨てにし始めたのだ。もうちょっとお姉ちゃんって呼ばれたかったなぁ。
そしてもう1つ。栗鼠の特徴、尻尾が本格的に大きくなってきた。うん、重い、邪魔。
…だけどこれなくなるとバランス取れないんだよなぁ。
それにモフモフで気持ちいいからね。お母さんの触ったらすごい気持ち良かった。その後めちゃくちゃ怒られたけど。そんなに怒る事かな?と思っていた時期が私にもありました。レオにモフモフされた時、なんか、もう不快感がエグかった。あれは一生されたくないな。
「どっかってどこよ。」
「うーん…冒険者ギルドとか?」
そんな軽いノリで行く所じゃない!
「…まぁ、そろそろ冒険者になるのもアリかもね。」
「だよねだよね!んじゃ早速お母さん達に言ってくる〜。」
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〜視点変更〜
母視点
…遂に子供達が冒険者になると言い出してきました。分かっていたけど…悲しいわ。
「…本当に冒険者になるの?」
「「うん!」」
うぅ…親離れが早い。同じくらいに生まれた近所の子達はまだまだ親にベッタリだというのに…。この子達は…もう行ってしまうのね…。
「分かりました。でも…」
「「?」」
「いつでも、帰ってきていいからね。」
「「…はい!」」
次会う時、もし満面の笑顔でも、この世に絶望してしまった顔をしていても、世界中が敵になっていても、私は…私達親はあなた達を必ず笑顔で迎えてあげるからね!
遂に!スローライフを満喫しようと頑張り始める!(予定)