2話 転生は意外とすぐそばに
おはよーございます。栗鼠の赤ちゃんとして生まれてから、実は目が開くようになるまで意識がありませんでした。そう、今まさに私が意識を取り戻しためでたい日なのだ!
…とはしゃぎたい所だけど、問題が1つ。人間の時の記憶がほぼございません!これが神様の焦ってた理由らしい。今さっき脳に直接語りかけてきて教えてくれた。これからも会話は可能だという。まぁ世界の情報は欲しいから神様と話せるのは嬉しいし、なんとなく人間の頃の記憶はロクなことがない気がしたから無くなってもいいや。
そ・れ・よ・り!
隣で寝息を立てて寝ている可愛い生物は何?
見た感じ栗鼠じゃ無いからなぁ。どっちかっていうと犬っぽい。
「あなた!ランが目を開けてるわ!」
「そ、それは本当か?!」
び、ビックリしたぁ。前を見ると赤ちゃん用のベッドの柵の向こうにメスの栗鼠の姿があった。お母さんかな?かなり綺麗だ。そして、「あなた」と呼ばれていたと思われる人(?)が入ってきた。きっとイケメンの栗鼠だろうなぁ。
…予想は違っていた。入ってきたのはイケメンの狼だった。…え?狼?私のお父さんなら栗鼠だと思ってたんだけど…。こんな時は神様に聞こう!
『この世界はね、獣人同士だったら子供ができるんだ。でも、人間と獣人は無理。で、君の親は栗鼠と狼。この場合、栗鼠のオスかメス、狼のオスかメスが生まれるんだ』
ほうほう、つまり隣で寝てる子は弟か妹なのかな。私の方が先に目が覚めたし多分私の方が上でしょ。
「目の色が綺麗ね。」
「あぁ、レオがどんな色の目をしているか気になるよ。」
目の色の話を始めた両親。…おぉ!2匹とも綺麗なオッドアイじゃん!…あれ?栗鼠ってオッドアイになる事あるの?まぁいいや。両親がオッドアイだし、私も弟もオッドアイなのかな。早く弟も目が覚めないかなぁ。
…名前の印象で性別勝手に決めてるけど弟でいいよね?オスだよね?まぁ間違ってたらこれから直そう。
――――――――――
数日後、レオが目を覚ました。すると、
「あなた!レオも目を覚ましたわ!」
「そうか!2匹とも早かったな!」
両親がすぐさま反応。レオがビックリしてる。…ん?なんかレオの反応…いや、気のせいかな。
レオの目は黄色と青色だった。うん、綺麗。
――――――――――
最近、両親が冒険者だという事が判明した。決して盗み聞きした訳ではない。ないったらない。
で、2匹は上から2番目のAランクらしい。因みに最高ランクのSは今は居ないらしい(by神様)。
大きくなったら冒険者になろうかな。Lv上げないと弱いらしいし。レオが極度のインドア派じゃなかったら連れて行くかな。因みに、レオは双子の弟でした。間違っていなくてよかった。
そ・し・て!今日、私達は2歳になりました!いやぁ長かった。歩けないというのがどれだけ不便かが分かる2年でした。
さらに!今日からお母さんに魔法を習い事になりました!レオも殆ど同じタイミングでお父さんに頼んでた。一瞬お父さんの目が光ったように見えたのはきっと気のせい。
今日はまず魔法の適正を見てくれるらしい。
「えーっとね…白魔法と水魔法と土魔法に適正があるわね!火魔法と風魔法にも適正がないわけじゃないから簡単な魔法なら覚えられると思うわ。」
こういうお母さんは全ての魔法に適正があるそう。なんか自信無くすなぁ。
「えっと…3つも適正があるのは凄いのよ?」
お母さん…慰めになってないよ。
そういえば、私のステータスってどれくらいなんだろう?そもそもステータス見れるかな?
【種族 栗鼠獣人 個体名 ラン
Lv1
HP 84/84
MP 143/143
攻撃 16
魔法 93
防御 72
素早 67
スキル『白魔法Lv9』『水魔法Lv7』『土魔法Lv8』『火魔法Lv3』『風魔法Lv4』『鑑定LvMAX』『転生者Lv-』『アレニヴァル語Lv-』】
魔法の適正、ステータス見れば一目瞭然っていう。
っていうか『転生者Lv-』ってなんだろう?
鑑定できるかな?
【転生者
LvUPでステータスが大幅に上がるようになる。このスキルは、同じスキルを持っていなければ、『鑑定』される事はない。】
ほうほう、成る程。これが神様の言っていたやつか。
…それより、『鑑定LvMAX』があるの凄くないか?神様がくれたのかな。というより他のスキルも全部神様だなきっと。ありがとうございます。
そうだ!早速レオの事鑑定してみよ!
「おーい、レオ居る?」
「ん?何姉ちゃん?」
よし、きたきた。それじゃあ遠慮なく『鑑定』!
【種族 狼獣人 個体名 レオ
Lv1
HP 132/132
MP 51/51
攻撃 107
魔法 25
防御 68
素早 59
スキル『鑑定LvMAX』『転生者Lv-』『アレニヴァル語Lv-』】
…え?なんで転生者があるの?もしかしなくてもそういう事だよね?
「レオって…転生者なの?」
「そ、それはどういう…」
「転生者、なんだよね?」
「…うん。でもどうして…ってうわ!」
思わず抱きついてしまった。でも!同じ境遇の人が居たらそうしちゃうよね!
「…お姉ちゃん。恥ずかしい。」
「あ!ごめん。そっか、前世の記憶があるから異性に抱きつかれるのは恥ずかしいのか。」
「うん。体格差が殆どないからかなり恥ずかしい。」
「いやごめんごめん。まさか同じ転生者がいるとは思わなくてさ!」
「ふぅん…ってお姉ちゃんも転生者なの?!」
「そっか、言ってなかったね。何を隠そう、私も転生者なのだ!」
「…かった…。」
「え?」
「良かったぁ!」
泣きながら抱きついてきた。おい!さっきの「恥ずかしい」発言どこいった!
「ちょっ…レオ?!」
「…ひぐっ。ごめん…お姉ちゃん。でも、もうちょっとだけ…こうさせて?」
「?いいよ。」
この後、レオが可愛すぎて抱き返していた。その時、レオの泣き声を聞いて駆けつけた両親がその光景を見て、凄く温かい目をしながら扉を閉めていった。…なんかすごい勘違いをされた気がするけどまぁいいや。
泣き止んだ後、レオは全てを話してくれた。