なろう系「じゃない」小説を、新しい言葉で表現すると?
なろう系が活性化しているのは、新しい言葉=キーワード=新ジャンル名の発明がされているから。
なろう系「じゃない」小説が、埋もれているのは、新しい言葉=キーワード=新ジャンル名の発明がされていないから。
ここからは、この仮説をベースに考えていきます。
小説家になろうには、大ジャンルが用意されています。
異世界〔恋愛〕 現実世界〔恋愛〕
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
ローファンタジー〔ファンタジー〕
純文学〔文芸〕 ヒューマンドラマ〔文芸〕
歴史〔文芸〕
推理〔文芸〕 ホラー〔文芸〕
アクション〔文芸〕 コメディー〔文芸〕
VRゲーム〔SF〕 宇宙〔SF〕
空想科学〔SF〕 パニック〔SF〕
童話〔その他〕 詩〔その他〕
エッセイ〔その他〕 その他〔その他〕
全部で19ジャンル。かなりの数です。
しかしながら、これだけで好みの小説にたどり着くのは困難なのも事実ですね。
現実世界〔恋愛〕とひとことで言っても、内容は千差万別。
学園物もあれば、オフィス物もあり。純愛物や不倫物だって入ります。
ジャンル別だけで、好みの小説にたどり着くのは困難です。
そこで活躍するのはキーワードの機能。
なろう系では、このキーワードがサブジャンルを検索するのに大活躍しています。
ひるがえって、我々が愛してやまないオールドタイプのファンタジー小説はどうでしょう。
ジャンル名のあとは、シリアス、らぶらぶ、コミカル、ハッピーエンドと、作品の傾向がつづいています。
ひとくちでサブジャンルが言えない。表現されていない。いままであった既存の枠であるハイファンタジー、ローファンタジーだけにとどまっている。
自分の作品が、思いっきりこの傾向なので書いていてつらいし。なんだったら泣きそうなのですが……。
これでは読者が探しづらい。
このような状態では、探されずに埋もれつづけてしまうのは必然ではありませんか?
……さて、ここからが本題です。
あなたの作品が。
もしくはあなたの愛する作品が、残念ながらこの傾向にあてはまる場合。
そして、そのジャンルをこよなく愛し、盛り上がって欲しいと願うなら。あなたがとるべき行動は、ただひとつ。
その作品の傾向をあらわす、新しい言葉=キーワード=新ジャンル名(サブジャンル名)を、つくり出して広めていく。
こう言われると、気後れしてしまいそうですよね。
自分なんかが……とか。
センスがないのに……とか。
べつに有名でもなんでもないのに……とか。
いろいろと考えて尻込みしてしまう。その気持ちは痛いほどわかります。
筆者も、いま、この文章を書いている最中、そんな気持ちに襲われつづけています。
特別有名でもなく。プロでもなく。影響力もない自分が、こんな大それたことを書いて……。
そういった考えが、ずっとつきまといつづけています。
でも、提案していきたいと思います。
自分の仮説が正解でなくても。自分が出した新しい言葉が受け入れられなくても。
こういう考えがあるという表明をすれば、広い世界のどこかに、受け止めてくれる人がいるかもしれないからです。
ここからは、なろう系「じゃない」小説のキーワードを考えていきます。
しかしながら、「じゃない小説」は「じゃない」だけあって幅が非常に広いです。
今回、筆者が考えたいと思う「じゃない小説」は、そのなかの一部。自分が書きたい/読みたいと切望しているこういう傾向のファンタジー小説です。
・スキル、レベル、HP、MPなどの表現を含まない
・ステータスオープンしない
・転生や転移ではなく、その世界の前知識をだれももたない(攻略情報がない)
・魔法や特別なアイテム、特殊な能力は出てくるが、システマチック(細かく数値化されていたり、レベリングされていたり)ではない
……見事なまでに「じゃない」小説です。
カンタンに表現するなら、なろう系のなかでも大きく育っているサブジャンル=ゲームライクファンタジーの反対をいくファンタジー小説です。
ちなみにゲームライクというのは、書いている最中にパッと浮かんできた造語です。存在しているかどうかも調べていません。
それでも、なんとなくは通じているでしょうか?
このゲームライクの逆をいくファンタジー。これをひとことで表現することを目指していきます。
あなたにも、いっしょに悩んでもらえたらうれしいです。
まず、ゲームライクの反対に位置する小説の特徴を、ザザッと書き出していきます。
そこに住んでいる/原住民/アボリジニ?/ネイティブ/当然/自然/システムの逆/ナチュラル……etc
いろいろと言葉を出したあと、いいと思える言葉をピックアップしてみます。これは主観でやっていきます。
このなかだと、「自然」や「ナチュラル」あたりが該当しそうです。
つぎにファンタジーという言葉に、言語をそろえてみましょう。
自然をファンタジーの語源であるラテン語で検索すると「nature」となっています。
ナチュラルとも近いし、一見よさそうに思えましたが、発音のしづらさが気になります。
さらに変換します。
「nature」を、もっとも流通している言語、英語にしてみましょう。
類似候補は複数ありますが、なかでも「Nature」なんかいいんじゃないかと思えました。
ネイチャーライクファンタジー
どうでしょうか?
正直なところ、筆者は英語が苦手です。
これが英語的に大丈夫な表現かは、まったくわかりません。
しかし、提案してみたいと思います。
・スキル、レベル、HP、MPなどの表現を含まない
・ステータスオープンしない
・転生や転移ではなく、その世界の前知識をだれももたない(攻略情報がない)
・魔法や特別なアイテム、特殊な能力は出てくるが、システマチック(細かく数値化されていたり、レベリングされていたり)ではない
そんな小説のことを、「ネイチャーライクファンタジー」と呼ぶのはどうでしょうか?
あなたの気持ちが賛成でも、反対でも、どちらでもかまいません。
ただできるなら、反対の場合は「こう呼ぶのがいいよ!」という新しいアイデアをいただければありがたいです。
さまざまな角度から意見を交わし合い、いつかちょうどピッタリの新しい言葉が見つかるといいな――そんな風に考えています。