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⚠︎工事が入りますのでお待ちください


がたごとっがったんごとんぼこんぼこぼこがたたん...のどかな町風景をありえないような音で進むこの馬車は酷く乗り心地が悪い。

仕方がないことだけれど不満ではあるわね...。もう少しどうにかできたのではなくて?いやうん、馬車あるだけいいと思おうかしらねぇ.....


領からでて魔法学園のある王都に向かう道は整備しておらずでこぼこしているためただでさえ品質のいいとはいえない馬車ではお察しの通りだ。酔い止めのお薬を調合したのは大正解ね。




こうなったのは遡ること1ヶ月前、如何にかしてでも魔法学園へ行く手立てをつけるためお祖母様は唐突に王城へ出向いた。面会約束もなしに。そこでこう捲し立てたのだと言う。やぁあん久しぶりね♡バルちゃん、30年振りくらいかしら?元気にしてた?あらあら、こんなに歳とっちゃって皺も隈も増えちゃって...そんなに大変なのかしら王様業って...心配よ。大丈夫だ、ちゃんとご飯食べてる?ああ、たまには外に行かなきゃダメよ?そこの騎士さんバルちゃんちょっと借りるわね。...もぉメリナ何しに来たか分からないじゃない!そうだな何をしに来たのだ、お願いしに来たの!何を?ノア様をこの国の学園に入れてもらうために!それで今は何を、え?散歩よ散歩!メリナは変わらないな、で今日はなんの話しを聞かせてくれるのかな?もっちろん萌とあなたとの交渉の話よ♡疲れている国王陛下にひたすらに意味のわからないトウトイ語り、ついでと言ってはなんだが私の話にちょこっとした脅しを念仏のように耳元に囁き続けた。1時間2時間3時間たった頃限界を訴え要求を全て呑んだという。お話(・・)をしに行ってニコニコして帰ってきたお祖母様はまさに言い勝ち功名...なんてことはなく言葉多き者は品少なしの諺が似合う人であった。...誘拐に洗脳?



その態度がバレたからなのかここまでグレードを落とされたのであった。うぅ、そこの指をさして笑ってる貴方、後で覚えている事ね!あーもー!!お祖母様のお、お茶目さんめが...!!



私自身は、まだ床に伏せっていて、目覚める様子はない、とのことで。本当はそんな理由で学園に行けませんが一応席だけくださいなんて普通できないがお祖母様の口添え(脅し)でなんと病欠扱いにしてもらっていた。完治後テストを行い編入できるだけの実力と知識があれば特例で編入できるとの事で届かなかった場合入学からはじまるそうで。流石、流石です...。


ですけれど私の評価はやっぱり「山高きが故に貴からず」


...このことはもちろん内密に!!...ん?はっ!!お、お祖母様...。





---


「痛たたっ......」

しばらくしてお尻が少し痛くなってきた頃丁度日が暮れてきたので近くにある宿で1泊することにした。少しここも馬車と同じで錆びれているが店主の気遣いから飾られ舗装され、可愛らしい古民家のようだった。お部屋にはお風呂はついていなかったがシャワーらしきものはかろうじてあったので助かった。乙女なので一日移動で疲れ汚れた体を水拭きだけで済ませたくはない。ベッドは硬かったが妥当だろう。もちろん上位の方のお貴族様スフィアが満足するものでは無いのだが1泊の値段にしては上等なものだ。採算取れているのかしら?疲れが溜まった者ならすぐ眠りにつけるだろう。

屋敷から学園までの道のりはそこそこあり二三日かかる。つまりはこれから学園に着くまでの道のりで爆弾を抱えないように神様に祈るしかないのが現状だ。うら若き乙女なのにこんなことあんまりだわ...。


よし、どんなに荒れるのも厭わないことにして明日は飛ばしてもらおう。貴族にあるまじき行為?あらヤダ、今だけは貴族じゃないわ、そう(きもち)はね。



烏の声で目が覚め、同じ宿で朝食も出してもらい鏡をみながら身だしなみを整える。うん、白い制服でも似合うわね。どっちも買って貰って良かったわ、だってどっちも私の好みにドンピシャなのよ~♪ふふふふ~♪

鼻歌交じりで支度を整えているその姿は乙女、誰かに見られたら1発で怪しまれること間違いなし、その場を回避したとしても誰も傍には近づかなくなるだろうそんな姿である。



今日着ているには白い制服だがこの学園の制服は2種類ある。

ひとつは男子に人気で黒いブレザーに揃いのボトムス。シンプルなのに物足りなさがない洗練されている素晴らしいデザインだ。

もうひとつは今着ている白いブレザーに紺のチェック柄のボトムス。黒のような重苦しさがなく清楚で女子に人気なのである。白と紺の相性は抜群。

だからか白と黒1着ずつ買う人も少数だが存在するのである。


更にローブもまた2種あるのだ。(着用は必須ではない)

胸元にはブローチをつけるのが決まりとなっていてそこにはこの学園の紋章にいる妖精が象られている。

あと男女兼用(ではあるが多少差がある)ループタイ、アグレット部分に石がついていてその石の種類で位を見るのだと言う。ちなみに2(ツヴァイ)はアンバーが嵌められる。

もちろんループタイをつけるのは必須ではないがアグレットが身分証明になることから1部以外(改造した者等)首につけることとなる。


おしゃれさんはベルトとかリストバンドにつけているのよね、学園に申請して許可が通ったものだけだから精巧で見てるだけで惚れ惚れする出来よ!王子様笑 のお姿を見ればわかるわ。



と言ったようにデザイン性がありなおかつこだわりが強いので1着1着+小物が高く、全種揃えられる人はほとんど居ない。というか載ってない商品もあるとかないとか?


私はしっかりお強請りさせていただいたのできっと同期の中で1番の持ちようになってると思うわ!!あ、いや1番は無理そうかしら...?




-----


昨日決意した通りに御者さんにはお願いし、激しくなる揺れに耐えながらひたすらに向かう。爆走の果てに見えるものは果たしてどんなものだろうか、



外を見る余裕などあるわけもなく荷物と共に激しく揺れる、そんな時間が続いてたときの事だった。がたんっっ!!ただでさえ酷い揺れがひときわ強くなったものでは収まらないくらいそれは揺れではない衝撃であった。急に馬車が止まったのだ。

ごんっっっ、その衝撃で勢いよく顔をぶつけてしまった...鼻が痛い。一体どうしたんだろうと外に出ようと思い立ち上がったと同時に扉が開く。


「坊ちゃん大丈夫か?!」


昨日少し仲良くなった御者のおじさまが外へ出るよりはやく無事を確認しに来てくれた。おじさま意外と素早いのね。


「だ、大丈夫です。あ」

鼻の下を触るとヌルッとした感触。赤い。


「!?坊ちゃん鼻血が出てるぞ!これで抑えてな!」


「ありがとうございます、...こんな可愛いハンカチ.......」

そう話しながらおじさまは慌てたように刺繍された可愛らしいハンカチを私に差し出した。お顔が真っ青ね...大丈夫よ、私横暴で理不尽な貴族様じゃないですから?今は本当に。そのお顔が見れただけで儲けですわ、そう何も問題はないわよ。

それにこのハンカチきっとお話してたご自慢の娘さんの繕ったものだわ!大切なもののはずむしろごめんなさい。これが血に染まってしまうのはもったいないがご好意に甘えよう。後で洗って返しますね。


鼻を押さえながら一体何が起きたのかおじさまに問う。



「それで何があったんですか?」


「いやに、急に人がとび出てきてな、それもな...」

この先は言いずらいのか言葉が詰まる、何か嫌な予感。


「...こんなところに人ですか?「悪い!!怪我はなかったか?!」


おじさまと話していたのに割り込んできたのは同い年ぐらいの制服を着た赤髪の男だった。その金色の目に射抜かれたら怯んでしまうだろうか?なーんて目はしておらず申し訳なさそうに眉を下げ叱られた子供のような目で私をただ真っ直ぐにみつめる。獅子のように凛々しく時には蝶を追いかけ回しそうな茶目っ気のあるそんな人。飛び出てきた犯人はこいつだろう。


男は私の身につけている制服を視界に入れると驚いたように目を見開きじっと観察してきた。そうして身につけているものを目に入れたと共にまじ...?やっちまった...。こんなはずじゃなかったんだとてっきり平民だと思ってなどと犯行を認めているとの事です...ではなく。貴族にあるまじき馬車の使い方をした男とその馬車を非常識な方法で止めた男をおじさまは同情の眼で見つめていた_____



「まぁなんだ、お兄ちゃんはそろそろじっとみ続けるのをやめにしないか?お坊ちゃんはその顔やめてさ...?」

うーん、えっと私貴方とお会いするのは初めてなのですがそんなにジロジロとみられるのは失礼ではなくって??もしかして服に何かついてるのかしら?それとも顔に...?

スフィアの眉間にシワができ始めた頃に御者のおじさまが仲介に入ったところではっと戻り赤髪の男は話し始めたのであった。


「あ、悪い。乗ってるのが同じ貴族のしかも学生だとは思わなくて」


悪かったわね、ボロ馬車で早馬で貴族様で...


「...。それでどうして急に出てきたんだ?」


「あー、それがなほらもうすぐ魔法学園の入学式があるだろ?それに行く為に俺もまた馬車で向かってたんだが途中で賊に襲われて木っ端微塵あれまじゃっ学園まで歩こうかなとは思ったんだけどこの荷物じゃな...ってもってただ待つのは性にあわねぇからよ通った馬車に相席させてもらおうと思ってな。そんとき丁度お前の馬車が遠くに見えてラッキー!っと思ったんだがまさかあんな勢いで走ってるなんて思わなかったぜ。いやー、焦った焦った。」


からから笑いながら事情を説明してくれた赤髪の男はどうやら私の知らない遠い領地の息子らしかった。身なりから察するに地位はそれなりにあるだろうに暴れ馬すぎる。嗚呼、昔の私を見ているよう。まあ、交友関係を広げておくのも悪くないのでのせてあげようと思ったが...うん、何も触れないで欲しかったわ。



本来貴族が乗る馬車は常日頃優雅優美の言葉からゆっくりだ。それは庶民が乗る馬車と見た目以外で区別をつけるためでもある。

そう貴族は見栄を張ってなんぼの世界!あら?言い方が上品ではないわね、あらあらあら!すっかり馴染んだのね男という性に。はははっ!...ではなく


今までずっと最高級の暮らしを送っていたソフィアにとってこれは屈辱的。馬車は一種のステータス開かしなのだ。


...奴と目が合うとニカッと笑って見つめ返してきた。きゃっ、ではなくこんな思いをしてるのも貴方のせいよ??うんでも悪い奴ではなさそう。話し相手にも丁度よさそうですしね。ほら仮面を被って、

「そうか...行先は一緒だしこんなぼろ馬車でもいいなら乗って行ってくれ」


「サンキュ!」


「ああ。...そういえばお前名前は?」


「おいおい、普通名前を聞く時は先に名乗るのが常識だろ?まあ学園じゃ地位なんて関係ないからいいけどよ気にするやつは気にするから気をつけた方がいいぞ。」


「名前を聞きたいやつはそう現れないからどうでもいい...忠告ありがとう。」

危ない危ない、いつも目上の立場だったからそんなこと気にしたことなんてなかったわ。ふぅ、どうにか誤魔化せたかしら?


「...レーヴェレオ・ヴァミレットだ、あー、レオって呼んでくれ」


「わかった。俺の名前はリューゼルダン・ツヴィグル、リュゼでいい。レオこれからよろしく。」


「おう!よろしくなっ!」


その後レオの荷物を馬車に詰め込み1人では充分だった室内が2人になると手狭になるということを頭に入れてなかったスフィアははじめての異性と大接近に緊張を覚えるも進み始めた馬車は止まらない。さあ深呼吸、他のことを考えましょう。





...ここだけの内緒話ですけれど、商売人にある合言葉を言うと出てくる隠しアクセというものがありましてそれをつけてる人しか入れない部屋が学園内にあるそうなのです。それに一定の位より上へ行けるであろうものにしか売らないもの、認識を薄れさせるもの、目を引きつけるもの。それはもう沢山。

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