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もきょんっ...。
奇妙な音を立て膜を突いて飲まれていった。
「ほら次の子!」
次はレオが令嬢の頭を一撫でしゲートへと向かい躊躇していた令嬢が勇気をだして後を追った。
その後上位家出身者が入ったのならと順調に進み下位に入ったのだが最後3人となったの私と褐色の他に1人ショートヘアの女子生徒が進めなくなった。脚がすくみ後ろに少しずつ後ずさりしている。
なかなかの怖がり、警戒心の強いのね。
「せ、先生。本当に本当に大丈夫ですよね?」
「..あー、腕が疲れてきたわ。はやく入りなさいってっっばっ!」
「うゅいっっ!!」
「...蹴った 」
「.....蹴ったな」
「...貴方達は自分で入れるわよね?ほら次、褐色くんの番。それともなぁにお姉さんにああやって入れてもらいたいのかなぁ?」
恐らくこめかみに血管が浮かんでいるであろう。トーンが全然高くないドスの効いた声でセクシーさを出すこの教師は鬼婆と言っても良いくらい自分勝手だ。説明でも挟んでくれれば納得できるのに、いきなり未知なものに突っ込むなんて勇気がないと出来ないだろうに。
蹴られた子の悲鳴を聞いてか鬼婆の脅しに即座に屈してまるでグラフィアの映像で見た海に飛び込む姿勢でゲートの中に飛び込んで行った。
「綺麗なフォーム...。」
「やあっと最後ね、ふぅ。あ、そうそうヴァハントくんはヒルカオンに行ったみたいよ?あなたはどこになるのかしらねぇ?」
「はぁ、教えてくださりありがとうございます。クランティーブ以外ならどこでもいいんですが、こればかりは運ですよね。」
「ふふっ、そうねぇ。ま、物は試しよ!行ってらっしゃぁーいっ!」
「っっ!!」
もきょんっ。
気がつくと先程までとは一変、目を剥くほど景色が違っていた。
森の小道のような夜空のいや虹の架け橋のような、ただの裏路地のようなわからない全てが錯覚 もしかしたらただの何も無い小部屋の中かもしれない。そんな場所。
足を触られた感覚、右足元を向けばくまのぬいぐるみ左向けばうさぎのぬいぐるみ顔をあげれば目の前にはピクシーが飛ぶ。逆さまの木に斜めに生えた羽根ペン本が空をかけ杖が歩いている。
「手をつなごうっていってるの?」
両脇にいるぬいぐるみが片手は足に沿って上にあげ反対の手をあっちあっちと向けていた。
暫く両手の子達に手を引かれ道に沿って歩いていると8つの道に別れた岐路に立たった。そこにはそれぞれの道に看板が立てられており各々寮の名前が刻まれていた。
「ドノミチ エラブモ アナタサマ ノ ジユウ 」
「ジユウ!ジユウ!」
「デモ アナタサマ ヘン 」
「ヘン!ヘン!」
「ミチビカレ ナイ ドコニ デモ イケテ シマウ 」
「シマウ!シマウ!」
「ダカラ ノゾミ ノ ママ エランデ 」
「ンデ!ンデ!」
「アンナイ スル ドコイク 」
「ドコ!ドコ!」
「そうだな...同級生が唯一振り分けられてない寮があるだろう?そこに案内してくれ。」
「ショウチシタ 」
「コッチ!コッチ!」
まどろみまどろんだ四方で八方につづいていた道は選ばれたと言わんばかりに看板が背伸びしとうせんぼ。唯一開いた続く地面を踏みしめたと思った瞬間踏み外し落ちていった。上に下に右と左、重力は無くなった。
「...っ.....うわあああぁぁああっっ!!わぁわわぁわ、揺れる!回る!転がった!なんなのこれって一体っわ!わわわ、わぁあああ!!
..うっ....そうね、貴方たちがちょっとイタズラをしてこんなに酔ってしまったってだけよね、いつもこうだということはなくてね、そうよね、そうだと言って!!」
「...ハイ ソウデス デスノデ オチツイテ クダサイ 」
「ウン!ソウ!」
「あれ、あなた達も着いてきていい、のかしら?」
「サイゴ ノ ミチビク ベキ ヒト オワッタ 」
「ボクラ キニイッタ ヒト ツカエル 」
「ボクラ ツヴィルラ オナジ スキニナッタ 」
「「イッショニ イテイイ?」」
「...君たちは俺を気に入ったのか、それとも私なの?」
「アナタサマ ハ アナタサマ デショウ 」
「ショウ!ショウ!」
クマのぬいぐるみはずっと手を離さない。うさぎも同じく。だから気づいたの些細な変化に、そう段々と体温が感じられ握っている生地が毛皮のもふもふに変わりなぜだか膝下の身長が伸び腰下位に少しほんの少しずつ大きくなっているようなそんな些細なことに気づいた。
「マモナク モクテキチ モクテキチ メガサメマス 」
............アア...コレハ ヒトリゴト..アナタ..ハナシ ....スキナノ...ボ...ク..ハ...」
視界がぼやけだした。
「...はっ!」
「ツイタ! ツイタ! 」
「アンナイスル アナタサマ ツイテキテ 」
「キテ! キテ!」
「おわっ、ちょ手をそんなに引っ張らないでくれ!」
何回か転びそうになりながらも引かれる手を離す気にはなれず上体斜め45°のまま駆ける。
階段を登って登って登ったあと角を曲がりバルコニーが見える突き当たり。登れば登るほど不潔になっていく空気、床にまでびっしりホコリが被っている。歩く度に舞うホコリが咳を誘発する、先程見た毛の生えた多足黒塊がうじゃっといたのはきっと見間違えだろう。このカサカサとなっている音も今肩に乗った毛虫も...。いやぁああああ!!
「う、ぅぅぅ.....」
「アナタサマ キブン ワルイ?」
「シンパイ シンパイ 」
叫ばないで我慢した自分を褒めたい。
「大丈夫。にしても此処は人間が住める場所...なのか?」
ドアノブの埃を除け扉を開けた先そこは一種の楽園、基地獄が待っていた。
「...アナタサマ ソレハ ヤボトイウノデショウ 」
「ダイジョウブ!ボクガ ガンバッテ オソウジ スルカラ!アノワルイムシ カラモ マモッチャウヨ!」
「ふぁ...っぐ、ありがとう。可愛いな君って子は...君が俺にやって欲しいことは無いのか?」
「ジャア ボクノコト ナマエ デ ヨンデヨ!」
「それだけでいいの?」
「イイヨ!トテモ ウレシイノ! ソレニ コレイジョウ アナタサマ ニ ムリ サセタクナイ オトコ コトバ ニ カエナクテ イイ! 」
「うぅっ...ありがとう、何でもお見通しって所なのね..では貴方のお名前は?」
「シュリム!ソウゾウシュ カラノ オクリモノ!」
「ンン ボクノ ナマエハ マェルム オスキナヨウニ オヨビクダサイ 」
「私の名前は...スフィアリゼ、とリューゼルダン。好きなように呼んでちょうだい?
これからよろしく、シュリムにマェルム!」
「コチラコソ ヨロシクオネガイスマス 」
「ヨロシク!ヨロシク!」




