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お父さん、お母さん
どうして?
ーーー目が覚めるといつもの朝
1DKのアパートで私は父と二人暮しをしている。
ダイニングキッチンには見慣れた空き缶や空き瓶が入っているゴミ袋の山。
父はテレビを付けたまま畳で横になっている。
見もしないニュースの雑音の中、私はいつものように目を覚ました。
畳は父のスペースで私は音を立てないようにそっと身支度をして外に出た。
最初は母が居なくなった悲しみの中、「父と子2人で支え合っていこう。」
父はそう言い私を抱き締めてくれた。
「お前も大人になってきたら自分の部屋が欲しくなるからな!お父さん、少し家賃が高くても頑張って働いてお前を大きくするからお前は心配しなくていいんだぞ。」
悲しそうに笑う人だった。