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舘谷葵はやっぱりわからない
「なあ、舘谷って結局どっちなんだ?」
別の男子にこう聞かれたことがある。俺は女子の制服に混ざる葵を横目で視認しつつ呟いた。
「俺も知らねーよ」
葵がトイレに行くのを尾けた奴がいるらしい。
でも葵はまわりの視線なんか気にせず、堂々と男女共用の、多機能トイレへ入っていったそうだ。
「え、ルー、幼馴染じゃねーの?」
「そうだけど、知らない」
女子と何かの話で盛り上がっている葵の制服姿を見てみる。
スラリと長い足。
胸も出てない。元からないのか、小さいだけなのか。
「ルー、何ジロジロ見てんの」
バレた。
「あ、いや」
「へんたーい」
葵は他の女子とクスクス笑うと、俺から視線を外した。
「でも、可愛いよな。女だったら狙うわ」
「それで男だったパターンだよな」
「うわ、しんど」
他の男子の笑い声を他所に、また葵を見てみた。
振り返った葵と目が合う。
にっこり笑って、左手の中指を立ててきた。
「ハッ」
俺は右手の親指を下に向けた。




