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舘谷葵はわからない
俺には変なクラスメイトがいる。
そして現在の状況説明。
今、俺の視線の先にはひとりの女と男の変なクラスメイトがいる。
「あ…あのっ!先輩…わたし、先輩が好きです!」
「ごめんね、そういうの間に合ってるんだ」
校舎裏。その可愛らしいポニテ女子は背中を向けて脱兎のごとく駆け出していった。うわーん…涙を流しながら去るその顔をもう「そいつ」は見ていない。
ただ向こうを見てため息をついているだけだ。
「…うぅ〜ん…」
そして大きく伸びをした。その姿勢のおかげで、2階の教室から一部始終を見守っていた俺と目が合う。
「モテるんだな、やっぱり」
「…助けてよ」
知るか。
「ほら、帰ろう。早く荷物まとめてこっち来て」
「はいはい」
俺の返事に、そいつは満面の笑みを向けた。
夕暮れによく引き立つ、
制服に身を包んだ、可憐な美少女の笑みで言う。
「遅れたらブッ飛ばすぞ」
彼には…いや、彼女には…でもない。
そいつ―舘谷葵には、性別の区別がない。




