《源龍来襲2》
正装もせず、ぼんやり呟くのは葬儀の当人キング=ドラゴン・・・の転生したゴブリン
あーあ、つまらんつまらん、茶番だ。自分の前世の葬儀なんぞ、見る必要性を感じねーし縁起悪ーし。
おまけに俺かと唯一気付いてる奴も忙しそうで愚痴も言えない。うん!?最後尾で目立たずにいたはずなのに最前列から誰か飛んでくるな、この町は貧乏なゴブリンばっかだが一万は居っからなどうせ俺じゃない奴だろう。でも、怒り狂ったマナなんて久しぶりに見たなぁ。でも、なんだかなぁ、どこか、そう・・・悲しそうだが、親の仇でもとるような顔してやがんな。
「おい、そこの下等種、お前は我等が御神とも言えるキング=ドラゴン様の葬儀であるぞ。それなのにてめぇはなんだ、其の恰好、正装もせず、身だしなみはだらだら。よろしい、そんな死に急ぐなら今すぐ殺るぞ。」
とマナが凄んできた。
「おいおい、お前まーた怒り狂ってんのか。あんまり人様に迷惑をかけんじゃねーぞ。」
「てめぇ、ちょっと殺すのを我慢してやったら調子に乗りやがって。いい加減にしろよ。ここで、キング=ドラゴン様を侮辱した罪であの世に送っといてやる。」
「フハハハハ、何も知らねーのか、ディゴの奴からなーんも聞いていないのか、そらそーか。そんな自分に都合の悪いことを自分から話すわけないよな。じゃあ今ここで教えてやる。ワッハッハー、我こそはは竜王にして魔王に至らんとするキング=ドラゴン様である。皆の者、其の威厳に畏敬を覚え跪くがよい。」
よしきた。これさえ言えばマナの野郎も信じるだろ。なんたって、俺の名乗りだからな、こいつならわかるはず!?
「なるほど、キング=ドラゴン様だと、其の名を騙るなど言語道断、更にその口調まで真似をするなど傲岸不遜であるぞ!!偉大であり正当なキング=ドラゴン様から賜ったこの龍剣:血雨で切り去ってやる。そうだ、キング=ドラゴン様だと名乗るなら其の剣技を見せてみよ。魔法と並ぶ切り札の一つよな。ほら、この血雨を貸してやる。さあ、来い。」
おっと、血雨を持ち出してくるか、あれは龍は切れないが、鬼などに良く効く。上位の龍が鍛える龍剣とは龍が切れないように、同士討ちしないようにほぼ錬成者権限がなされている。
「おいおい、それじゃあおめえのことは切れないじゃないか。龍剣は龍を切れない。常識だろ。」
「ほーう。お前は見る目だけはなかなかありそうだな。この剣の特性を見切るとはな。いいだろう。その目に応じてキング=ドラゴン様から授かったもう一つの魔剣:殲鱗を貸してやろう。これなら我をも切れるぞ。我はこの血雨で受けてやる。精々悪足掻きするがよい。では、ゆくぞ!!」
あーあ、勝手に話が進んでこうなちまった、しょうがない持てうる最大の力、スキルで行こうか。幸いというか、俺には《剣術》がある。どうにかなるだろう。
そうして俺は無茶とも思えるマナとの戦闘を開始した。